時間が2、30分経過した。参加者の多くは、スタッフと話す部屋と自分の席を行ったり来たりしている。
僕はまだ一度きりしかあの部屋にはいっていない。しばらく、ずっと持ってきた本を読んでいた。
この飛行機はそもそも孤島になんか向かっていないんじゃないか?と思えてきた。もしくは、実はもう辿り着いているのだけど、その周りをグルグル回っているとか。
到着予定時間からたっぷり1時間以上が経過していた。
そういえば、一番頻繁にスタッフルームに行っていたすらっとした40代くらいの男の様子が変わっていた。さっきまでは物凄く考え込んでいたようだったが、今は妙にスッキリした顔をしている。
“何かわかったのか?”
テストは始まっているといっていたが・・・。
“僕も考えてみようか”
次第にさっきの40代の男と同じように何かがやっとわかったみたいな顔をする人たちが何人もでてきた。
“これは何かのクイズか?じゃあ、問題はなんだ?”
僕はしばらく考え込んだ。
“問題はこれか”
なぜ、この飛行機がいつまで経っても目的地に辿り着かないのか。だ。
僕はあれこれいろいろ考えた結果、1つの仮定が思いついた。
それはそもそもこの飛行機は初めから飛んでいないというものだった。
このテストを通してどれだけ早く気付くのか試しているのかもしれない。
この状況を考えると僕はこの参加者の中では“並”といったとこだろう。