“こんな大掛かりなことして一体何やってんだ”
やはり、巨大グループ企業ともなるとやることのスケールが全く違う。
僕はやれやれと思いながら、例のスタッフルームまで足を運んだ。
スタッフに今のこの状況の予想を話すと、にっこり微笑んだ。
“なんだ、やっぱりそうだったのか”
彼女の説明によると、残り時間はあとわずかだそうだ。
僕は自分の席に着くまで、他の正解者同様、少し得意気な気分になった。
まだ、正解していない人たちは半分くらいいるだろうか。
残りの時間、後の半分くらいのまだ正解していない人たちのうち、何人かはようやくわかったらしく慌てて、スタッフルームに駆け込んでいった。
このテストが蓋を開けてみたら、まさかこんなクイズみたいなものだったなんて誰が思っただろうか。
“しかし、ここまで来てまだ気付いてない人がいるぞ。さすがにおかしいって気付くはずなのになぁ”
中でもそのうちの一人は考える気すらないといった様子であった。
というより、あたかも考えたくない。仮に彼が答えをわかったとしても答えそうもないような顔をしていた。年齢は40代後半くらいに見えた。
そのうちに制限時間がきた。結局、3名を残し、全員が正解できた。
スタッフはやさしい口調でその3名に対し、事の真相を伝えたみたいだ。彼らはその例の男を除いて、安堵の表情を浮かべていた。
無事に今日の心理テストのアルバイトを終えた。
僕を含めた参加者たちはこの後、簡単な説明のため、別棟の一室まで移動した。
一通りこのテストに関する説明が終わり、僕らは解散することになった。