「相変わらず、“皆同じ”だと信じているのかい?ほんと、君は変わっているね。」
今現在、僕は20歳。そして、今、僕に話しているのが友人のツテだ。彼とはゼミで知り合った。
「そろそろ、“兵士”かそうじゃないかくらいの見分けはつけろよな。おれたちもうじき、社会人だぜ?」
“兵士”とはニックネームで、会社で働くことが予め決められている人のことだ。彼らは皆、優秀ではあるが自分たちの未来のことは全て他の誰かにいつも決めてもらっている。というのも、彼らは“知性”を借りているからだ。そして、彼らは生まれたときから全てが決まっている。そういう身分なのだ。と、ツテは言ってたっけ。
ツテは頭はいいが、それを現実世界で利用して得しようとか、そういう気がないようである。本人じゃない僕から見るとなんてもったいないことしてるんだと思ってしまうが、これが今の彼の守るべきスタンスなのだろう。
「よぉ、ソラ、ツテ!」
「お久しぶりです。ヒビカナイ先輩。」
彼は僕らのゼミの先輩だ。
「おまえら、来年から本格的に就活だろ?そろそろ準備しといたほうがいいぞ。」
「先輩はもう就職決まったんですか?」
「まぁな、大手保険会社の代理店営業だ。」
「へぇ、いいじゃないですか。」
「でもなぁ、ほら、うち、実家が自営業やってるから。正直、迷ってんだよね。おれってさ、営業とか向いてないじゃない?でも、いいとこで内定取れたのはここしかなくて。」
「まぁ、そうですよね。選択肢ありますもんね。」
「じゃあ、これからおれ、バイトあるから。」
「はい、また、ゼミの飲み会とかで会いましょう。」