「そりぁ、どうも。」




「ところでお前の就活はどうなんだ?」僕が切り返した。




「どうも何もないよ。一応、試しにやってるって感じだ。それより、お前、“兵士”になろうとしてるんじゃあないだろうな?あれは何もない人間がなるものだぞ?」




また、その話かといつもなら思っていたところだが、なぜか今日はスッと入ってきた。




「仮に僕がそれになろうとしていたとしても僕は何か特別な才能とかあるわけでもないからなぁ。なろうとしても仕方ないんじゃないか?」




ツテは例の、このセリフを僕から引き出したかったみたいな顔をし、黙っていた。しばらく経って彼は話し出した。




「“兵士”っていうのはな。どんなことでもいいから、競争することが目的なんだよ。彼らにとっては競争すること自体に意味があるんだ。例えばだ、彼らからしてみれば、同じ道を同じ進行方向に歩いてる人ですら自動的に競争相手になる。そうやって常に相手と自分の共通尺度を探しているんだよ。もし、(自分を)持っている人間ならその競争のフィールドには乗らないだろうね。わかるだろ?兵士は命令を下されてこその存在なんだから。“兵士”にとって命令の意味を考える必要なんてないのさ。」




「そうは言ったってそれが社会人(サラリーマン)ってもんだろ?」




「そう、ただし、サラーマンという“空気感”だ。」ツテは言った。




また、話がよくわからなくなってきた・・。


気が付けば既にビールをジョッキ4杯目に差しかかっていた。どうりで頭が回らないはずだ。




飲み始めてから、大分時間も経ち、気が付いたら深夜になっていた。




「ところでギターの練習成果は出てるのかい?」

少しからかうような口調で僕は聞いてみた。