まぁね。なんでも形通りにやろうとしてたからギターが上達していなかったんだな、おれは。ギターなんて弾きたいように弾けばいいだけだったんだ。出したい音さえあれば練習なんて自然にできてしまうからね。形として練習することが目的になっちゃったら意味が全く変わってきちゃうよ。」




「おっ、アーティストだねぇ。おれも何か楽器でもやってみるかなぁ。」




「おまえはドラムが向いてんじゃないか?」




「ほう、それはなぜ?」




「適当だ。」




「ここは語らないのか(笑)」




「そんな連続で深い話はさすがに無理だよ。さっきのギタートークだってやっと引きづり出してきたやつなんだから。」




「そうか?おれにはツルッと出してるように見えるぞ。」




「なんだ、その擬音は。そんな斬新な使い方をするなよ。」




結構な量のお酒を飲んだので、なぜか今度は量ではなく質で飲もうということになり、僕らはウィスキーのロックを頼んだ。




ここのマスターが僕らに言った。

「あんまり、飲みすぎるんじゃあないぞ。」




マスターはいつもこう言うが本気で止める気はないのはわかっていた。悪い人である。(笑)




ウィスキーは喉を通るたびに激しいばかりの味わい深い“熱”を与え、そして、熱さが引くと同時に奥深い樽の香りを残していくのであった。一口で“動”と“静”が味わえる不思議な飲み物だ。




よく考えて見れば、もしかして僕は今、結構いい“言葉”が出てきたんじゃないか?まさかこれはツテの“影響”か。