アクセサリーにはネックレスあるいは、ブレスレッド、指輪など様々なタイプがあった。ただ、共通しているのはどれも色の付いたガラスのようなものが付いているということだ。そして、僕の友人たちは偶然なのか皆、同じ色、それもシルバーっぽく見える色だった。教室を見回しているとそれぞれ半透明のアクセサリーをしていて色はまばらであった。パッと見で言えることは、全てではないが皆、同じ色同士で集まっているということだった。




帰りの電車の中、多くのサリーマンがいた。今朝、僕は気付かなかったが、よく見てみると彼らにも半透明のアクセサリーがあった。それもよく目を凝らして見なければ見えないくらい、今にも消えてしまいそうなほど薄いものだった。しかも、付いているはずの“色”がなかった。




「ただいまぁ」




「おかえりぃ」




家に帰ると母親もやはり半透明のペンダントを付けていた。分かりづらいが、原色系の明るく強い色だった。




夕食どきに家族が集まり、僕は注意深く観察してみた。父親は一見シルバーっぽかったが薄いグレーだった。姉は黄色、弟は青だった。



最近、勉強は進んでるの?」母が聞いてきた。僕のマイペースな性格が心配らしい。


「あぁ、進んでるよ。」僕は淡淡と答えるだけだ。

「夢路は気分屋だから、ちゃんとやってるかわからないよぉ、お母さん」おせっかいな姉がいつも余計なことを言うのだ。姉は心配しているというより、完全に僕をおちょくっていてそれを楽しんでいるのだ。昔からそうだ。




このとき、僕はある変化に気が付いた。姉が僕をからかっているとき、確かに姉のアクセサリーがほんの少しだけ明るくなったのだ。“一体なんなんだ、これ”




翌日、再び僕は教室内をこっそりと観察していた。気が付いたことはいろいろあったが、たまに違う色どうしが話すとき互いの色が濁るのだ。そのときの空気はというとだいたいいい感じではなかった。しかし、シルバーの人間が違う色と接するときは不思議なことに両者の色は濁らないのだ。