芥川龍之介はそもそも人間の理性(合理性)に対して懐疑的な見方をしているのではないか。本作品ではどうしようもない主人公だけど、唯一、自分を肯定できるちょっとした夢(芋粥をたらふく食べる)を持っている。そして、これを人間の理性に相当するものと置き換えてみることができる。しかし、最終的には目の前にある大量の芋(粥)を見て食欲をなくすという人間の性に結局、自分の理性(夢)がいとも簡単に否定されている。理性や合理性は完全なものではないと言っているように思える。

 

 市場競争がますます激化し、企業の合理化や効率化が当たり前になった昨今。合理化や効率化を否定する気はないが、今一度、冷静に人間の本質を考え直す必要があるのではないか。