前回までのブログではかなり細かい部分であるサッシの色の影響を見てきましたが、サッシ程度でもかなり印象が変わることをご理解いただけたのではないでしょうか。

続いてはテイスト・コンセプトと外壁色について考えてみます。

外壁といってますが、屋根も含めた家の外側の大きな面積を占める色とお考えいただければと思います。

今回は新たな事例です。

こちらのお宅をご覧ください。

首都圏郊外に昭和末期に建築された築35年を超えるお宅です。

今回、劣化と防災の面から外観のリフレッシュをすることとなりました。

大手高級ハウスメーカーの建築で敷地100坪、うち建坪が70坪を超えている大型住宅であり、邸宅といって良いかと思います。

古いものの、軒などの水平ラインも規模感があり邸宅感は出ていますが、ではこのお宅は洋風なのか和風なのかといったらどちらだと思われますか？

答えは…正直どっちでもないと思います。

建物自体のデザインは総二階ですが、ファサードである東側（向かって右側）に張り出しや凹みなどのアクセントを付け、洋風な出窓やモダンなコーナー窓でデザイン性を持たせています。

次に色を見てみると、外壁は明るいベージュ、建具やサッシ類はブロンズであり、このあたりは洋風でも使用できますが、屋根瓦は明るいグレーの和瓦です。

大きい邸宅であるにも関わらず、壁・屋根の色が軽すぎな気がしますし、和洋のテイストが混在です。言い方は悪いですがどっちつかずで色の組み合わせも田舎っぽく感じませんか？

この時代のハウスメーカーの注文住宅はこのような家をよく見ます。言ってしまえば、昭和日本の和洋折衷ハウスメーカー風でしょうか。外観に関しての総合的なコンセプトは無く、間取りに外観をあわせていき、色や素材もそれぞれなんとなくこれが良いかなという感じで選んでできたお家だと思います。

今でも郊外や地方の大きいお宅でこうした家をよく見かけます。

で、今回のリフレッシュ案です。主に色の変更です。

リフレッシュにあたっては、テイスト・コンセプトを「和モダン」で「現代にハウスメーカーで建築した邸宅風」としました。

洋風にするには建物の規模感が大きく、かつ屋根形状や建具類がそのままであることから難しいとの判断です。

和モダンですと和を感じるベース色に黒・木目を効かせたの色のバランスが重要と考えます。

屋根は重い和瓦が外れたり耐震上も問題があって、更新をするとのことなので軽いスレート瓦の黒を選びました。

ベースの外壁は暗めのベージュとして全体に落ち着きを持たせた上で、軒天や外壁に木目をあわせてモダンさを出しました。

ブロンズのサッシや2階バルコニーの格子フェンスなども交換したいところですが、今回は建具を触らないとのことなのでそのままです。こちらを黒のサッシやガラスフェンスなどに交換するとより現代の邸宅らしくなると思います。

↓

●家は間取りから考えることが多いですが、この事例のようにハウスメーカーの注文住宅において、間取りを決めた上で間取りに外観をあわせていった場合、なんだかよくわからないものになりがちです。

●間取りより先にどんな外観が好みか、どんなテイスト・コンセプトの家にしたいかをしっかり考えておき、間取りによってコンセプトの軸がブレないようにしましょう。

●そもそもハウスメーカーの住宅は和洋折衷でコンセプトがよくわからない商品もあります。モデルハウスが良くても、本当にそのテイストで自分の好みの家になるのか考えましょう。

（続きます）

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家の外観を整える…色の影響（2）テーマ・コンセプトを考える【前編】