プレーヤーがストロークを行う前にキャディーに対して制限される区域

2019年12月18日

(2023年1月1日加筆)

1 プロゴルフにおいて,プレーヤーがストロークのためにスタンスをとるとき,旧ゴルフ規則においては,パッティンググリーン上でも,その他のコース上であっても,キャディーがプレーヤーの球の後方延長線上に立って,O.Kあるいは,無言でラインが合っていることを確認しておりました。あの確認をしてもらえれば,俺だって3つや4つ位はスコアーが良くなるはずだと思ったことはありませんか。

  キャディーはプレーヤーを助けるとはいっても,プレーの方向を決め,正しくスタンスをとるのはプレーヤーの基本的な技量で,プレーヤーがとったスタンスを他人が確認したのでは面白くありません。アマチュアの競技では,キャディーが共用ということもあり,球の後方延長線上で確認をしているのをあまり見たことがありません。このキャディーによるスタンスの確認が,2019年の近代化されたゴルフ規則「10.2b 他の援助」によって禁止されたことは当然と思います。

長い間プロゴルフだけで行われていたインチキルール,地面にくい込んだ球の救済の問題も数年前の規則改正により解決しました。

今回のゴルフ規則改正で,プロゴルフの競技では可能ですが,アマチュアの競技では事実上難しい,キャディーによるスタンスの確認の問題も解決したと思います。これでプロゴルフ競技もアマチュア競技に一歩近き,R&Aが標榜する「アマチュアもプロフェッショナルゴルファーも世界共通の規則のもとにプレーする」という理念が一つ達成されたことになり喜ばしい限りです。

 

2 2019年の改訂では,規則10.2b⑷は,キャディーがプレーヤーの後方に立つことの制限。」として規定されていたことが,2023年の改訂で規則10.2b⑷は,「プレーヤーがストロークを行う前にキャディーに対して制限される区域。」として規定されました。

  2019年の規則では,10.2b⑷は,パッティンググリーン以外の区域とパッティンググリーン上とでキャディーがプレーヤーの後方に立つことの制限について違いを設けていました。今回の2023年の改訂ではその扱いが同じになりました。大して意味のないことに規則で差を設けるのは,プレーヤーにとって迷惑です。規則は可能な限り単純で覚え易いことが第一です。

 

 ⑴ 2023年ゴルフ規則10.2b

   コース上で, プレーヤーがストロークのためスタンスをとり始めてからストロークするまで,キャディーは,プレーヤーが目標を定めるのを援助するため,故意に球の後方のプレーの線の延長線上に立つことはできない。

   しかし,ストロークを行う前にプレーヤーがその場を離れ,そのプレーヤーが再びストロークの為のスタンスを取り始める前にキャディーがその制限される区域を離れれば罰はない。

としました

 

 ⑵ 今回の規則改正は,キャディーが球の後方のプレーの線の延長線上やその近く「制限される区域」に立つことの禁止です。キャディーが何らかの指示をしたことが要件ではありません。そしてこの規制は,全てのコース上が対象で,パッティンググリーンに限らないということです。

   また,うっかりこの規則に違反しても,プレーヤーがストロークを行う前であれば,罰なしで訂正できるとしたことです。

以上

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    本ブログ内の「プレーの線の指示」を参照してください。