球をドロップする場合の具体的救済エリア(罰なしの場合)

2019年3月16日

 

 球を拾い上げてプレーに戻す場合,プレースもしくは,ドロップによって再び球をインプレーにします(規則14.1,同.2)。そして,ドロップする場所(範囲)についてゴルフ規則は,「救済エリア」と「クラブレングス」という2つの用語を考案しました(規則14.3)。また,「基点」についても,規則書の巻末に,救済エリアの大きさ(規則本文は「救済エリアのサイズ」と翻訳しています)を計測するときの起点と定義してあります。

 球を拾い上げてドロップをし,球をプレーに戻す一般的方法は,規則14.3で説明しましたから,ここでは具体的な場合に救済エリアのサイズと,それを計測する基点,及びその他の間違え易い事項について検討します。

ゴルフ規則は,罰なしの救済[規則15,同16],罰ありの救済[規則17,同18,同19]と分けています。しかし,罰なしの救済などはゴルフ規則のあちこちに規定されており,規則15と同16だけではありません。規則書の中で,罰なしの救済,罰ありの救済と2章に分けた趣旨が良く分かりません。ゴルフ規則の順序に従って,重要と思われるものだけですが,罰なしの救済について規則番号の若い順に検討してみます。

 

 [規則11.1b 例外―1] 「パティンググリーン以外の場所からプレーされた球が人,動物,または動いている外的影響の上に止まった場合:プレーヤーは球をあるがままにプレーしてはならず,代わりに次の救済を受けなければならない。」

 注: 球がパティンググリーン以外の場所にある場合(球がパティンググリーン(上)にある場合は,プレースとなるので本稿では検討しません。)。

   プレーヤーは元の球か別の球を次の救済エリアにドロップしなければならない:

   つまり,球が観戦者の腹の上にある場合に限らず,生きているトンボ(死んでいた場合動物〈Animal〉とは言えないのでは)の上にあっても,そのままプレーすると誤所からのプレー(14.7a )として2罰打となります。

  *基点:その球が人,動物,動いている外的影響の上に最初に止まっていた場所の真下と推定する地点。

  *基点から計測する救済エリアのサイズ:1クラブレングス。

  *救済エリアの場所に関する制限:

―起点と同じコースエリア。

―起点よりホールに近づかない。(救済エリアの場所に関する制限は以後省略)

 

2 [規則13.1f ⑵] 「目的外グリーンから救済を受けなければならない」

 ⑴ 目的外グリーンによる障害の意味については,このブログ内の次の稿を参照してください。

   「目的外グリーンから救済を受けなければならない」

 

 ⑵ 目的外グリーンによる障害がある場合,プレーヤーはその球をあるがままにプレーしてはならない。プレーヤーは元の球か別の球を次の救済エリアにドロップしなければならない:(救済を受けないと2罰打)

  *基点:元の球が止まっていたのと同じコースエリア(定義:目的外グリーンはジェネラルエリア)の完全な救済のニヤレストポイント。

  *基点から計測する救済エリアのサイズ:1クラブレングス。

 

3 [規則15.1,同.2] 「ルースインペディメントと動かせる障害物からの救済」

  これについては,ほとんどがリプレースの処置です。ところが,パティンググリーン(上)以外のコース上の場所で,①球が動かせる障害物の中や上にある場合の救済と,②動かせる障害物の中や上に球があることが,分かっている,または事実上確実だが見つからない場合の救済ではドロップすることになります。しかし,前記1,2と異なり救済を受けるのは任意です。

  もちろん,ルースインペディメントについては,球が動く原因となるルースインペディメントを故意に取り除くことは出来ません。球が動いた場合1罰打となり,ルースインペディメントは戻さなくてもよいが,球はリプレースします(15.1a ,同b )

  *基点:①は,球がその動かせる障害物の中や上に止まっていた場所の真下と推定する地点[15.2a ⑵]。

  *基点から計測する救済エリアのサイズ:1クラブレングス。

  *基点:②は,球がコース上のその動かせる障害物の縁を最後に横切った場所の真下と推定した地点を起点として15.2a ⑵に基づいてドロップ[15.2b]。

 

4 [16.1a ]異常なコース状態,動かせない障害物からの救済,及び動物の穴,修理地,一時的な水による障害などからの救済。この救済も前記1,2と異なり救済を受けるのは任意です。

 

ジェネラルエリアとバンカーで異なります。

 ⑴[16.1bジェネラルエリア

*基点:ジェネラルエリアの完全な救済のニヤレストポイント。

*救済エリアのサイズ:1クラブレングス。

  *救済エリアの場所に関する制限:ジェネラルエリア

 

 ⑵[16.1c]バンカー内の球の救済(罰なしと罰ありの2つの救済があります。これを見ても,罰ありの救済と罰なしの救済をⅥ章とⅦ章に分けた意味が分かりません。)

  [16.1c⑴]罰なしの救済:バンカー内からプレーする。

   ・完全な救済のニヤレストポイントと救済エリアはそのバンカーの中。

   ・完全な救済のニヤレストポイントがない場合,そのバンカー内の最大限の救済を受けることができる箇所(例えば水深の浅い箇所)。

  [16.1c⑵]罰ありの救済:バンカーの内外(後方線上)からプレーする。

  *基点:後方基準線上で元の箇所よりもホールから遠いプレーヤーが選択したコース上の地点

  *救済エリアのサイズ:1クラブレングス。

  *救済エリアの場所に関する制限:どのコースエリアでもよい(バンカーの外を選択する場合が多いと思われるが,元の箇所よりもホールから遠いバンカー内でも可)

   なお,状況が似ていますが,バンカー内の球をアンプレヤブルとし,バンカー外でのプレーを選択すると,2罰打になります。その場合と混同しないでください。(19.3b参照)

 

 ⑶[16.3b]地面にくい込んだ球の救済

  *基点:球が地面にくい込んでいる場所の直後の箇所

  *基点から計測する救済エリアのサイズ:1クラブレングス。

  *救済エリアの場所に関する制限:ジェネラルエリア以外では認められません。

以上罰なしの救済が認められる重要と思われる場合の幾つかを検討しました。

以上