先日、合同展示会「Rooms33」に行ってきました。
その中で気になったブランドや作品をいくつか紹介していけたらいいなっと思っています。
展示会場に入って、最初に見えてきたのがこちらの織り機でした。
とても古い手動の織り機でした。日本昔話などで見たことのある、ガッチャン!ガラガラ!ガッチャン!ガラガラ!と近年ではなかなか聞きなれない音が響く中、壁にはたてにもよこにも波模様を描いた「たてよこもじり織り」の生地が飾ってありました。
株式会社工房織座という会社が扱うこちらの織機は、会社のある愛媛県今治市で行われるオリジナルストール作りのワークショップで使われている明治時代の足踏み機だそうです。
ワークショップで使われている糸は生産の際に余った糸を使って、ワークショップに参加した人が色、素材、サイズなどを全てデザインしたものを製作します。
こちらの工房織座さんが使用する織機は「Y式織機」といい、大正時代の間に4万台生産されたと記録されている機械になります。その織機は日本を代表するTOYOTA自動車を作った豊田喜一郎氏の父であり、豊田紡織(現 トヨタ紡織)、豊田紡織廠、豊田自動織機製作所(現 豊田自動織機)を創業した豊田佐吉氏によって作られたそうです。
日本ではいくつかの産地で使用されているそうですが、4万台あったにもかかわらず、ほとんど目にすることも少なくなった、とても希少で貴重な織機です。
当時は手ぬぐいやふんどしなどがこちらの機械で作られていたそうです。
工房織座さんは、当時のまま使っているのではなく、様々な改造を施しており、今までにない風合いやオリジナルのデザインを生み出しています。古い機械で新しい物作りをする発想がとてもMADE IN JAPANらしい発想だとおもいます。
展示会場で設置されていたこちらは、主にタオルを製作していた工房織座の社長さんが力強い物作りを求め、10年前にガラクタを集めてこちらの織機を復活させたのがきっかけだったそうです。
展示会場で説明をしてくださった女性が工房織座の社長様のお嬢さんで、この機械を組み立てることに奮闘していた当時のお話をしてくださいました。
お話を聞いて、自動車の開発のために豊田自動織機製作所内に自動車製作部門を新設してしまった豊田喜一郎さんを思い出しました。豊田氏が新たな可能性を信じ、反対されながらも日本の職人の技術を磨き上げ「未来」を作ったように、工房織座の社長は日本の更なる「力強い物作り」を求めて、常に進化し続けるんだなっと思いました。きっと豊田氏のように、こだわりぬいた職人魂が更に未来を作るのだとおもいます。
今後も美しい物作りを楽しみにしたいです。そして、是非今度は社長ご本人に色々とお話が聞けたらと思います。



