はじめまして。
自分の大好きなブランドやクリエーター、海外などで発見したものなどを伝えたいなっと思いブログを始めました。
自分もデザイナーだからこそ、クリエーターが伝えて欲しいところ、気付いてほしいところを書いていけたらいいなと思います。
FBやインスタグラムでは文字数も少ないし、簡単にまとめるのは勿体ない気がしたもので。。。
幸いにも、周りにたくさんの知恵を与えてくださる先輩方が多いので、私が学んだことをまとめる日記みたいなものになると思います。クリエーターの想いだったりが皆様の心に入っていけるような伝達人の役割ができたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
では一発目のご紹介は私が6月末、仕事で訪れたパリで偶然見つけた魔法のお店「Atelier d'Autrefois (アトリエ・ドートルフォワ)」になります。
Chemin Vertというバルティーユ広場の近くの小さな駅を降りるとすぐあるこのお店。レストランと果物屋さんの間にひっそりとあります。ウィンドウにはずらっと小さな陶器の置物が並んでいて、近くに寄って覗き込まないと、何が飾ってあるのか正直わかりません(汗)いったい、このお店は何のお店なのでしょうか?
オープンと書いてあったので、中を覗いてみようと思いドアを開けようとしても鍵がかかっていました。呼び鈴があったので、ひとまず鳴らしてみると、中から老人が招きいれてくれました。
古そうな仮面やら、パペット、アンティークの木箱、それにウィンドウで飾られてた小さいな陶器達がところ狭しと並べられていました。
陶器は親指の第一関節くらいの小さいものから手のひらサイズまでありました。パリの職人が一点一点ハンドメイドで作っていて、同じものは2つとありませんでした。各作品の裏に職人のサインが彫られているのが、一点ものだっていう証明なんだよっと老人は教えてくれました。
「これは私の作ったオルゴールだよ。ここはオルゴールのお店なんだ。ここにある全てのオルゴールは私が作った作品だよ」
陶器にばかり気をとられていた私に老人は話しかけてきました。
このお店はパリでたった一人のオルゴール職人、モーリスさんのアトリエ兼ショップだったのです。
メカニックはもちろん、木箱を組み立て、象嵌細工をし、色をつけ、ニスを塗り、さらに細かい装飾を施し全ての作業を一人で手がけています。人形の顔や、髪の毛、着ている衣装はヴィンテージの布を使用して、一点一点モーリス自身が仕立てています。奏でる音楽はモーツアルトやショパンといったクラシックから、ミュージカル、映画の曲など、モーリスが愛する曲ばかりです。
お店の至るところに作業途中の作品が飾ってありました。モーリスの仕事の繊細さと正確さを物語っています。仕事に自信がなければ、作業途中の作品をわざわざお店に飾ったりはしません。彼の職人としてプライドが感じられました。これらの作品を作るのに、1年かかるそうです。
こちらの猫タイプは私が一番恋してしまった作品です。犬派の私ですが、この猫ちゃんには不思議な魅力を感じました。今でもこの子のことは忘れられません。ちなみにこれらの作品、全ての人形が 音楽と合わせて動きます。
アンティークのオルゴールをメンテナンスし、また音を奏でさせて復活させるのもモーリスさんのお仕事だと言います。彼は1800年代から続く技術を持つ職人でもあるのです。
お店の奥が彼のアトリエになっていました。壁に飾ってある小さな楽器などもモーリスの手作りだそうです。
他にもシンプルな木箱のオルゴール(自分でハンドルを回して音を鳴らすタイプ)、鳥が囀るケージタイプ、木目象嵌細工を施したものなどがあり、小さいけれども歴史を感じさせる博物館のようです。
私はモーリスのすすめでこちらのオルゴールを購入しました。曲はCATのMEMORYです。モーリスの大好きな曲だそうです。
最後にモーリスは私に「YUUKI、魔法を見せてあげよう!」といい、特別なオルゴールを見せてくれました。そのオルゴールは金でできていて、専用の鍵でネジをまいて蓋をあけると、中から小さいな小鳥が飛び出し、歌を歌い出します。1分にも満たない、あっという間の囀りですが、他では絶対に見れない、息をのむほどの美しさでした。それもそのはず、このオルゴールは過去にイギリスの王室や日本の天皇陛下などに作ったものと同じものだそうです。最近でいうとピクサー社にも同じ構造のものを作ったそうです。
モーリスのお店はパリにある魔法がみれるお店だと思います。夢のような時間を過ごした私は結局最終日もモーリスに会いに行きました。その際にモーリスから友達の印にとフランスの美味しいワインをいただきました。
次またパリに行く時には必ず会いに行きます。
(モーリスが特別と言ってたので、その気持ちを尊重して最後のオルゴールの写真、映像は控えさせていただきます)










