作例は生産された4機の実機の内、突撃機動軍のエースパイロット、ロバート・ギリアム大佐に引き渡された機体として製作しました。
使用キット:MG 1/100 MS-06R-2 ジョニー・ライデン専用 ザクII Ver.2.0
ジョニー・ライデン少佐や、シン・マツナガ大尉ほどの有名人ではありませんが、名機「MS-06R-2」のパイロットとして、MSVファンにとって忘れてはならない人物のひとりです。
ギリアム大佐のMS操縦技術の高さは折り紙つきで、大戦末期の大きな戦いでも活躍を見せました。
一年戦争中のモビルスーツ撃墜数が115機、艦船撃墜数は6隻とされており、これはジオン公国軍第8位の記録になります。
ブルー部分はクレオスMr.カラー「C110 キャラクターブルー」を中心に調色、クリーム色部分は「GX01 クールホワイト」と「GX04 キアライエロー」を調色して塗装しました。
ブラック部分も、ブルーの色味に合わせ、フィニッシャーズカラーの「スーパーディープブルー」を使用しています。
この機体をつくっていた頃は、現在 私がツヤ消しクリアとしてメインで使用している「Mr.カラーGX スーパークリアーIII + フラットベース なめらかスムース」の調合レシピが確立していませんでした。
そのため、ここでは実験的にガイアカラーの「フラットクリアー」を使用しており、写真ではわかりにくいのですが、他の機体よりもツヤ消し感が強い仕上がりになっています。
4年ほど前から模型製作に手を染め、MGザクVer.2.0でMSVに登場する機体をつくろうと思い立って、3機目に選んだのがこの機体でした。
最初に手をつけたのが同じMS-06R-2のギャビーハザード中佐機で、2機目はトーマス・クルツ少尉のグフだったと記憶しています。
3機のR-2を製作して終了かな、と考えていたシリーズも思えば遠くへきたものです。
数多くの媒体で大佐として紹介されることが多いため、そちらの説の方が有力ではないかと考えられてますが、これには諸説が入り乱れており、どれが正確な情報かは判断がつきづらいのも事実です。
先述の撃墜数から見るエースランキングの順位も踏まえた上で、数あるMSV聖典のひとつ「戦略戦術大図鑑」の記述を信じ、私個人は大尉説を推していたのですが、近頃発行された最新の資料「MSV-R ザク編」に「ロバート・ギリアム大佐」と表記されていたので、そちらが現時点での真実なのでしょう。
ちなみに、この「戦略戦術大図鑑」、一年戦争史を語る上で欠かせない、MSVファン必読の一冊なのですが、現在は絶版となっており、入手が非常に困難な状況になってしまっています。
しかし、「MS大図鑑」シリーズを復刻してまとめた「機動戦士ガンダム MS大図鑑 宇宙世紀ボックス」に収録されているので、どうしても読んでみたいという方はこちらの方が手に入れやすいかと思います。
そのなかで、このロバート・ギリアムというキャラクターをいっそう不鮮明にしているのが、次々と乗機を乗り換える大佐のMS遍歴に他なりません。
ジョニー・ライデン少佐であれば、その乗機は「ザクII(F型)」→「ザクII(S型)」→「ザクII(R-2型)」→「ゲルググキャノン」&「高機動型ゲルググ」と、MS技術の進歩と共に、非常にわかりやすい経過を辿って乗り換えを行っていきます。
しかし、ここでロバート・ギリアム大佐の搭乗した機体を順不同で列挙してみます。
「ザクII(S型)」「ザクII(R-2型)」「ゲルググ(S型)」「ズゴックE」、そしてMSV-Rで新たに設定された謎のMA「ビグ・ルフ」。
他はこじつけようと思えばなんとでもなりそうなものの、このなかでもっとも異彩を放っていると感じるのは「ズゴックE」に他なりません。
マ・クベ中佐の提唱した「統合整備計画」を受けて、一年戦争末期に開発されたこの機体、いったいギリアム大佐は何を意図してこの機体に搭乗していたのでしょうか。
考えれば考えるほど不可解です。
……とまあ、こんなことを考えて楽しむことができるのもMSVの醍醐味です。
ちなみに、先程も紹介した「MSV-R ザク編」では、新たに専用のMS-06Sの画稿が描き下ろされているほか、スカイブルーとクリーム色のパーソナルカラーが、大佐の好物であったジェリービーンズが元になっている、とのエピソードが記されていました。
こんな感じで人物には様々な設定が付加され、歴史には時代に見合わぬ後付けのオーバーテクノロジーや失われた開発系譜がねじ込まれていくのです。
ギリアム大佐も、そんなMSVの洗礼を浴びたキャラクターの最たる例なのかもしれません。
そして、そういった設定の変遷に翻弄されること自体を楽しむのも、MSVファンとしての在り方のひとつではないでしょうか。
私はとても楽しませてもらっています。
そういった設定があるわけではありませんが、「ギレンの野望」シリーズや「カードビルダー」シリーズでは、格闘の能力値が非常に高く設定されているロバート・ギリアム大佐のため、ちょっとしたお遊びで装備させてみたものです。
こんな装備では、せっかくのR-2の機動性を活かせませんね。
以上、「MS-06R-2 ザクII ロバート・ギリアム大佐専用機」でした。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!