「なんか白けるんですよね。もーボク帰ります。」
そう吐き捨てて店を出ていったT氏。
己が召集した場で、女子にお熱で終始ケータイ片手でリダイアルじゃどうなのよ・・
それは、一昨日の夜にさかのぼる。
T氏は私の店にオープン当初から来てくださってる常連さま。
お見えになると、大抵酒話かエロ話になる事から、他人とは思えない親近感を感じていた。
以前から一緒に飲もうなどと話題には挙がっていたが、なかなか折り合いつかず数年が過ぎ、念願の夜となった訳であったが。
T氏と私がよくお世話になっている飲み屋さんの店主さまとおくさま。そして、T氏の先輩なる方、そして私の5名での夜となった。。
仕事を終え、既に酒がキマりかけている一行に合流したのがPM8:00.
地元ではおそらく1、2を争う焼酎の品揃えと、美味い桜肉を食べさせてくれるお店で、滞りなく滑り出す。
最近やられっぱなしの私は、今日こそは大人の振る舞いで終始、を念頭に客観視キメ込む。
既に赤いゾーンに片足を突っ込んでいるT氏の、アクセルべた踏みエロトーク全開。呆気にとられつつ、他人の振り見てなんとやらと再認識。
宴が中盤に差し掛かろうとする辺り、携帯をこまめにチェックしていたT氏が、メールから通話に切り替えた模様で、ひっきりなしに電話を耳にあて、リダイアルを繰り返している。
会話もそこそこに、電話に出ない彼女に苛立ちを隠せないT氏。異国の女性である彼女。そういったお店で働いているという話で、その日はオフであるにも関わらず電話に出ないと、焦りと嫉妬と酔いに暴走を見せ始める。
色々な事情もあるのだろうけれど、三十路を迎えた男子として、あまりにも目に余る。
他の同席者も同様に感じていたであろう、T氏の先輩が諭すも聞く耳持たぬ様子。むしろ己の正当性を訴え食ってかかる。
そして。冒頭のセリフを吐き捨て、制止をよそにタクシーに乗り込み、夜の街へ消えたT氏。
主催者の抜けた宴は行き場を失うかとも思われたが、流石に皆様オトナであった。
やれ若気だ、やれラブ イズ ブラインドだとやりながら呑みなおす。
同席していたご夫婦の結婚記念日であった同日、お店の計らいでケーキとシャンパンのサプライズがあったりと、是非ともT氏もいっしょに祝えてたらと残念でならないが。
サプライズで綺麗に幕を下ろした宴であったが、時間も早かったのと、飲み足りないのもあり、いつもの如水で一人のみ。
スタッフの方々とのエロ楽しい会話と酢モツ、そしてまったりホーム気分を堪能し、すっかり上機嫌。
気づけばAM3:00。随分と長居をしてしまい、結局スタッフの皆様と帰路を共に。ママチャリのケツに跨り自宅まで送って頂いた。
実はその夜。T氏が忘れていったある物を預かって帰ったのだが。
その旨伝えようと、翌日電話をかけてみた。
私 「どんも~ 昨晩はだいじょぶでしたかー」
T氏 「あーどうもどうも~ 昨夜はすんませんでしたー」
私 「あの、例のブツ預かってるんですけど」
T氏 「例のブツ?なんすかそれ?」
私 「え?大事なもの忘れて行ってませんか?」
T氏 「えーーと。ライターくらいかな?ライターですよね?」
私 「・・・えと・・ 靴を・・ブーツをね、預かってんですけど・・」
T氏 「え~~!靴!俺どうやって帰ったんだ??はだし?! ガハハ!!俺かっこいいーー!」
・・・捨てて帰ればよかった。
ま。なんだかんだ憎めないT氏でありましたとさ。