職業柄、お客さんから色々な分野のお話を聞く機会がある。


大半が楽しくて、薄学な私には大変参考になる物が多いのだが。



中には、返答に困る話題を投げかけてくる方も、少なからずいらっしゃる。



先日伺った話だ。


掻い摘んで話すと、お客様ご夫婦の親しくされていたご友人の男性が、結婚を控えていた。


そして、準備も恙無く見えたお二人の晴れの日。


式場に現れなかった新郎は、自宅で自らの命を絶っていた。



何が彼をそうさせたのだろう。また、他の道はなかったのだろうか。


こういう言い方は良くないと思うが、自殺をする人間にも、その心情にも興味がもてないし、理解もできない。



ただ、孤独や絶望といったものを抱いた人間には、そちら側からしか見えない風景があるのは何となく解る。


明かりの中から暗がりは見えないものだ。







そんな話しを聞いた後で読んだ、この作品。


チェーン・ポイズン/本多 孝好
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突発性難聴に襲われた天才バイオリニスト。異常者に妻子を殺された男。そして、平凡なOL女性。


彼らが選んだ「自殺」という道。そこに不思議な連鎖を見つけた記者。服毒死、そして死亡時期の類似。







基本的にテーマは人の生き死になんで、重めではあるけれど、程よくミステリーの要素もあり、そちら方面でも十分楽しめる。




華麗に騙され、そして死と云う暗がりを照らす光が見えるラスト。



とても考えされられる良い作品でした。