西表島1日目はひたすら歩きました。2日目はいよいよ旅の核となる難所へとむかうのでした。
その難所というのが、崖が厳しく、その周りの海も深く歩けるようなリーフもなく、ましてや重い荷物を持って泳ぐ事も出来ない場所です。そこをやり過ごすために、その崖の手前の急斜面を登り崖を巻く必要がありました。

2日目の朝、気持ちよく朝焼けを浴び、ふと海を見ると淡く虹のような物が縦に浮かんでるのがみえました。写真がものすごく分かりにくいですが、彩雲といわれる虹の1つで、なかなかお目にかかれない現象だと教えてもらいました。2日目のスタートは、とても気持ちのいいもんでした。

前日の教訓から、ガレ場を歩くよりリーフを歩く方が断然歩きやすく、負担も少ない事を学んでリーフを進みます。運良く、引き潮の時間も重なり順調に歩を進めます。写真の前方左端の崖が今回の最難所です。

駄目もとで、崖がどんな感じなのか確認だけはしてきました。クライミングの道具が確実に必要なのと、20キロ以上ある荷物を引き上げるのにかなりのリスクもある事。ふと下を見れば、浅瀬が全く無い、深い青色した海がそこに。東映の映画の始まる前の感じです!あそこまで激しく無いにしろ、波が岩に当たっては水しぶきをあげてました。さすがに泳げる感じもしなければ、持ってきたパックラフトに荷物固定して漕ぐのもかなりリスクのある行為であることは間違いなく、やはり計画通りに崖を巻くのが無難だと判断しました。

少し遠目に1枚。なかなか厳しいポイントでした。

このブッシュが100m程の急登の市口付近。ピンク色のブイが目印で、チャレンジされた他の方の中には、この登り口を探すのに1時間以上かかった方もいるみたいです。比較的簡単に登り口を見つけて、斜面を登る準備をしだしました。
この日、この難所ではこれ以上写真を取れていません。撮る余裕が全くなくなりました。
ここから、撤退に至るアクシデントに繋がる出来事が、重なりだしました。
このブッシュを乗り切るために用意してきた、ヤッケを上下着ました。西表島に自生しているアダンといわれる植物対策でした。アロエをかなり凶暴にした感じの植物で、葉自体も厚く頑丈でおまけに、葉にはギザギザが付いてる厄介な敵でした。こいつがかなり密集した状態で生えてるので、引っかき傷を作らないようにスムーズに斜面を登るために用意しました。
この日の天気は快晴。気温も30°近く、また、南向きの斜面にはジリジリと太陽が照りつけていました。
結果的に僕は、この斜面で、人生初となる熱中症(脱水症状)になってしまいました。ここからはかなり長くなります。ご了承下さい。
斜面を登るために、ザックの外につけてた荷物を全てザックの中に。これは荷物がアダンの葉に少しでも引っかからないための対策。しかし全てを詰め込んだザックははるかに僕の頭の高さをこえていました。アダン以外の南国の植物も強力に行く手を阻みます。南国の植物は何か強い生命力を感じました。つるがたくさんあるのですが、頭を低くしつるをくぐっても頭より高いザックがどうしても引っかかるのです。それの繰り返し・・・。体力を奪われます。
正直、山登りする登山道のように確実に人が通った形跡が見当たらないくらいでした。仮に道があっても植物に覆われて、僕だけでそれを発見する事が困難な状況でした。
そんな中、ザックの外側の紐が植物に引っかかり切れたのでした。そこに付けておいたパックラフトのパドルがバラバラと外れました。この間どれくらいの距離を登れたのか。おそらくはスタートから20m程。後輩を呼び止めたのですが、どうやら声が届かず、ここでパドルを拾いザックにしまう間に、後輩とはぐれたのでした。
この時点でかなりの汗をかいており、確実に後輩ガイドが通ったであろうルートからはぐれました。時間にしてほんの数分の荷物の整頓作業で、大きなズレが生じました。
それから僕は、汗まみれで荷物を引きずりホフク全身で、後輩の進んだ道を探すのですが、全く思うように体が動かず、数メートル進む事もかなり困難な状況になりました。ほんのわずかな時間での事です。想像以上の暑さと湿気、ヤッケを着込んだことにより完全なサウナ状況になり、すぐに動けなくなりました。
携帯に後輩から連絡が入りました。しかし、電波の状況も非常に悪くうまく状況が伝えれません。かなり遠くからかすかにピーと増えの合図が聞こえます。こちらも笛で合図を送るのですが、あまりの遠くからの笛の音がとても恐ろしく感じ、ドンドン不安が増します。
あれ、俺死ぬんか・・・・?
初めてそんな事を思いました。ドンドン怖さが増すのと、ダンダン意識も朦朧とし始めました。
小さな木陰をなんとか見つけて水分を補給し、少しでも回復するのを待つしかありませんでした。
時間にして30分くらい。弱りきった僕のところに、後輩が戻ってきました。後輩も汗だくで死に物狂いでせっかく登った道を降りてきてくれました。
「こんなとこで、倒れんで下さい!」 一喝されました。僕の旅への準備不足を指摘され、それが原因で後輩にも負担をかけてしまったことを深く反省しました。
そこからのことはあまりよく覚えてないんですが、ほんとに気力だけで、荷物を背負い動き出しました。後輩がわずかに開けた道を案内してくれたおかげです。
しかし、後輩のペースにはまったくついていけず、少し動いては休み、ほんの20m進むのに30分以上かかりました。
岩陰で休みます。バサっと音がしました。顔上げたらほんの2m先の木の枝にカラスが止まりました。こいつ俺を食いに来たなと思いました。手を上げて振り払う事が出来ないくらい弱ってました。いわゆる死臭をカラスは感じたのかと思うとより怖さが増します。マジでやばいな・・・。
カラスは先ず柔らかい目をつつくというの聞いたことがあったので、手で顔を覆い下向くことしか出来ません。水分補給。熱中症予防の飴。非常用の食品を口にしながらひたすら体力の回復を待ちました。長い事休んでようやく意識がはっきりしだしました。だいぶ楽になりました。
カラスはいませんでした。
その後なんとかフラフラの状態で山頂にはたどり着きました。
結果として、このような事があり2人で話あった結果、この旅をここまでにして引き返そうという事になりました。
自分のおごりや様々な準備不足から、死んでもおかしくない状況に陥ったこと。死にかけた事。それでも生かされた事。この旅で改めて生きてる事が素晴らしい事だいう事を実感しました。
この経験がなんらかの形で今後の人生に生かせるようにしなければ。
まだ死ねない理由があって、生かされたのならなおさら、それに応えられるように人生を有意義に全うしたいと思います。
ほんとはもっと、いろんな事があって書きたいことだらけやったんですが、長くなりすぎるので、かなり強引に完結にまとめました。(^_^;)
本当に意味のある旅になりました。感謝です。生きてればいろんな事があります。辛いこと、悲しい事。もちろん楽しい事も!生きてるだけで、やっぱり丸儲けですね!
結果そこに行き着くのに、こんなに長文になってしまいました。すいません。(^_^;)
でも、又きっと行くんやろなぁ・・・。あの場所でしか感じる事が出来ない何かを求めて。
西表島!大好きな場所の1つになりました。