Richard Barnes Mods! 4
MODS LOOK
第2の、そして最も霊要な思春期ファッションの出現は、MODだ。これもまたワーキングクラスのファッションではあるんだけど、初期の創始者たちは、安定したミドルクラスの家庭の Kids だったようだ。たいていはユダヤ人で、実験的なファッションをいろいろ試してみるだけのお金を持っていた。たぶん親からもらっていたんだろう。働くには若 すぎたから。
まだMODSと呼ばれるような特別なスタイルもグループもなかった。とはいえ、服装に興味をもってるやつも、少ないながら個々に存在していた。しかし彼らの場合は、「興味」なんていう穏やかなものじゃなかった。なにしろ完璧にすっかり服にイカれちまっていた。女の子の中にも1人や2人は、同じように取り憑かれているコもいたことはいたけど、ほとんど男ばっかりだった。彼らはひとつのグループをつくっていたわけではなく、 それぞれ個々に大胆かつ確固たるスタイルをもって散在していた。信じられないほどうぬぼれが強く、ちょっぴりスノッブ、全くのところナルシスティックなやつら。ごく初期の頃はひとりひとり孤立していたし、お互いの存在にも気づかなかった。それぞれが独自に共通の情熱を追求してたってわけだ。
Ric は Wembly 出身でのちにMODになったやつだけど、当時をこんなふうに回想している。「俺らよく、ユダヤ人のやつとほっつき歩いてたんだ。いい友だちだったよ。そいつにはあと2人ユダヤ人の友だちがいて、そのうちの1人の父親ってのが小さな手仕事の洋服屋にいた。そのせいもあってか、やつら本気で服に入れ込みだしたんだ。 「でも俺らはまだ学校行ってたから、カネなんてちっともありゃしない。
友だちは中退してたのさ。かといって、働いてもいなかったけどね。おやじさんが自分で商売してて、それがうまくいってたから、やつはいつも親からカネをもらってたってわけ。一日中ただうろつき回るか、めかしこんで街に出かけてってはまた新しい服を買う、そんなことばっかりしてた。やつはまず靴をオーダーメイドにした。それからシャツも。 俺らにはそいつらに遅れないようにする手立てなんてありゃしない。みんなダークブルーのイタリアンスーツを持ってて、ライトブルーのボタンダウンなんかを着てるんだ。友だちはスーツをしこたま持ってた。そのほとんどがブルーだったっけ。あと靴ってのがまた、 そのテのイタリアンーフレンチで。トップのまわりにギャサーが寄って縮んだようになった、 スリッポンタイプのクレープシューズだった。あんな靴は見たことなかったな。やつは一財産注ぎ込んだこったろうと思う。それから、同じようにカネを使って、Savile Rowやどっかでオリジナルデザインのシャツをつくらせたりもしてた。
何もかもおっそろしく念が入ってたな、3人とも。とにかく彼らは、自分が欲しいものは何かちゃあんとわかってた。いっつも服のことばっかりしゃべってて、もうほとんど宗教ってかんじだった」。
Crepe rubber 石油系ゴムではなく、ゴムの木から採取した天然ゴム
こういったティーンエイジダンディたちは、50年代の低能な野蛮さに反発していた。 その粗雑さとケバケバしさを嫌い、自分たちを新しくて洗練されたものと考えていた。 そして、1959年から60年に起った総ての超モダンな出来夢の一部になることを望んだ。当時のイングランドはトラディショナルジャズ(トラッド)ブームの真っ只中にあって、
チャートにはディキシーランドジャズのイギリスヴァージョンがあふれていた。Acker Bilk Monty Sunshine, そしてChris Barberらが名を成していた頃だ。しかしサイダーやビールをやたらと飲むような乱雑なトラッドの世界は、彼らの個性にはピンとこなかった。彼らは、モダンジャズの清潔で新しくなめらかなイメージを自分たちと重ねていた。 Modern Jazz Quartet, Charlie Mingus, Gerry Mulligan ZUT Dave Brubeck Hot あたりのアルバムを買っていたようだ。
自分たちの呼び名もこういうモダンジャズ趣味からきていた。彼らは自らをModernists と称した。
その時はまだほんのひと握りの連中だったけど、やがて注目され、話題に上り、服装をコピーされるようになっていった。彼らは引力に吸い寄せられるようにWest End に集るようになった。「まるでバスチーユってノリでコーヒーバーにたむろしてた。似たようなスタイルのやつがいると、同じテーブルに座って互いに誉めあったりしてとRicは言う。
彼らの影響は徐々に広がっていった。そのスタイルは、そうなりたいと憧れる他の Kids に影響を及ぼした。次第にModernists は、末成年の崇拝の対象となった。
The 2i's Coffee Bar



