『松風になったら火を止めてね』

実家は、とにかく今でもお客様が多い家。

私が子供の頃、母は、い
つもお勝手でお料理したり、お酒の用意をしたりで大忙しでした。

日本酒
のお燗をするとき、南部鉄瓶で沸かしていましたが、
動き回ってい
る母は、付いていられず、よく私にお燗の番を頼み、

「松風が吹い
たらガスの火を止めてね!」って言ったものでした。


最初に言われた時、「まつかぜってなぁに?」と聞くと

「鉄瓶の
音が松林に吹く風の音のようにシャ~ッって聞こえたら、

丁度良い
温度になるってこと」と言っていました。
...


以来、鉄瓶のお酒の沸く音に神経を傾け、

「シャーッ」って聞こえ
るのを待ち、上手くいくと、「上手上手」と、母は褒めてくれまし
た。

ある時、この松風の音がもっと強くなったらどんな音になるん
だろう・・・と松風を通り越して聞き入っているうちに、

蓋から口
からシュワーっとお酒が溢れ出し、火が止まってしまいました。





は、「ぁ~あ!台風が来ちゃったわね~」と、笑っていました。

今となっては、その鉄瓶に徳利を入れて沸かしたのか、

鉄瓶に直接
お酒を入れて沸かしたのか・・・果たして、

松風が「シャーッ」な
のか「ツーッ」なのか、おぼろげな記憶ですが・・・




MoconeeのキラキラNews

今、目の前のストーブにかけてあるヤカンが

「シャーッ」っと音を
立て始まったのを聞き、

子どもの頃のお勝手の記憶と母の顔が蘇り、走馬灯のように駆け巡
っています。

実際の「松風」の音を、心して確かめに、出かけてみたい。