「え、里梨・・・? どこ行くの!?」


「・・・くに、早くいこ」


「え、あ、ちょっと待ってよ!」


いつも部活のときは一緒にいる、佐川美久仁(さがわ みくに)をほぼ強制的に連れ出し、音楽室を出て行った。


「部長、いいんですか・・・?」


「え。あっ、じゃあとりあえずすすめよっか。


 パートごとに楽譜を取りに来てください」


全部で約10のパートがある。


「うわ、難しそう・・・」


「でもめっちゃきれいだったよね!」


などと口々に言いながら、それぞれの場所へと戻り、練習を始める。


(里梨・・・。どうするんだろう・・・)


机の上には楽譜が3つ、残っていた。







みなさまお久しぶりですーっ☆



1年も放置してたんですね、自分w





えー、私は今年「受験生」というものらしくて、in率ガタ落ちしてます;;



なのでこれからの更新は超スローペースになってしまうと思います。。





ですがっ!、



こんな放置してる私にも関わらず、ぺタをしてくださっている方がいて・・・・



感謝ですっっ((感涙






この1年間で語学力もついたはずですし(おそらく)!



がんばっていきたいと思うので、引き続き応援お願いします!!





でぁ26話行ってみましょー☆

(やっば!遅れるっ!)


誰もいない静まり返った廊下に、早いリズムをうつ私の足音だけが響く。


「間に合ったぁ~~」


かなりギリギリで到着。


みんなはもう準備を終えている。


「では始めます。起立ー」


だるそうに立ちあがる。


「礼ー。着席。」


ふぅーと大きく深呼吸。


「えと、今日から正式に部長になった、河西みなみです。


 いろいろと迷惑をかけるかもしれませんが、よろしくお願いします。」


ちらっと里梨を見た。


やっぱり、話なんて聞いていなかった。


「それと、コンクールの曲が決まりました。


 『音符の瞳』という曲です。


 実は、この曲は小塚さんが作った曲です。


 天国の小塚さんにも届くように、頑張って練習しましょう。」


スイッチを押す。


ゆったりとした、きれいなハーモニーの曲。


「わぁ!小塚先輩、すごい!」


「中3がつくったとは思えない・・・」


曲は約4分。


本当に、中3でつくったなんて、ありえないくらいすごい。



「これを、あと2ヶ月でするの?」


曲が終わった時、3年の森村さんが手を挙げた。


「はい。コンクールの1番最後に吹こうと思ってます。


 去年は6位で、とても悔しかったので、今年こそは――」


「バカみたい。」


ガタッと立ち上がったのは、里梨だった。



「この曲をコンクールで演奏したいですけど・・・」


部活の時間。


先生に、あの楽譜を渡した。


「どれどれ・・・」


楽譜を目で追う。


すると、動きが止まった。


「これ、誰の曲か分かる?」


楽譜から目を上げずに言った。


「いいえ・・・。聞いたこともないです。」


「うーん・・・」


首をかしげた。


「小塚さんの部屋で見つけたんです。


 だから、小塚さんのお気に入りの曲なのかなって・・・」


「ちょっと調べてみるわ。


 それに、この曲、ハーモニーがすごく綺麗な気がするし。」


そういって、音楽室から出て行った。


「あ、河西さん」


「え、あ、はい。」


戸のすきまから、先生によばれた。


「今日から河西さんが部長だから、よろしくね。」


「あ、はい。」


そっか。


小塚さんが亡くなったから・・・。


ちくん。


そう考えたら、胸が痛い。


でも、私は殺したわけじゃない。


(やっぱり、私が悪いのかな・・・)


沙弥達に言われすぎたせいか、


『私は殺してない』ってことを強く主張できなくなった気がする。


本当に、殺してなんかないのに・・・・・。

昨日の夜までのワクワク感も、あっけなく消えた。


教室の戸を開けたくない。


でも、開けないといけない。


それが私にはとても苦痛に感じる。


ガラガラッという音と同時に、視線が集まる。


でも、ほんの2秒ほどで散ってゆく。


乱暴な言葉はないけど、この視線が一番キライ。


だけど、今日はやらないといけないことがある。


昨日の小塚さんの部屋で見つけたあの曲。


先生に渡して、コンクールで演奏できるか訊いてみる。


すると、沙弥たちの会話が聞こえてきた。


「えー、なんで捕まらないのぉー」


「警察もおかしいよね。被害届だそーよ」


「面倒くさいからさ、電話しようよぉー」


「じゃあ朝美が言ってよ」


「やだし!里梨に頼んでよぉ。ねっ、里梨!言ってよー」


里梨は本を読んでいる。


「ノリ悪いよ、里梨ー?本なんかマジメに読むキャラだっけぇー?」


どうしたんだろう。里梨、朝美をムシしている。


「里梨、ヤな感じ。なに無視しちゃってんの?


 もしかして、共犯者ー?」


それでも無視しつづける。


「ちょっとさ、マジでムカつくんだけど。いい加減答えたらどうなの?」


沙弥も里梨をみらみつける。


「もういいや。朝美、こいつ放っておこ。あたしたちのことがキライみたいだから。」


ふん、と見捨てるように鼻でため息をつき、沙弥達は教室からでていった。


その紙の上に書かれていたのは、


『音符の瞳』


という、小塚さんらしい、キレイな文字だった。


何段も積み重なる五線の上に、さまざまな音符がのせられている。


これ、誰の曲だろう。


音符を目でたどり、頭の中で演奏してみる。


聞いたことがない。


でも―――。


演奏したい。すごく難しそうだけど。


「あの、これ、借りてもいいですか?」


「手紙?それが何かの役に立つの?」


どうやら、知っていないみたい。


内緒にしてたんだ。


「これ、曲がかいてあるんです。


 ぜひ、私達吹奏楽部で演奏したいなと思って・・・。」


今度のコンクールに、この曲で出たい。


見た瞬間から、そう思っていた。


「へぇ・・・。彩乃がそんなに好きな曲なんてあったかしら・・・。


 いいわよ。持っていって。」


「ありがとうございます!」


明日、先生にも見せてみよう。


そう考えると、すごくわくわくしてきた。

わたしがいじめられてること、先生は知ってたのかな。


「みなみちゃんには責任はないわ。」


っていうのは、先生が私の事を話したから?


それとも、ただ私が責任を感じていると小塚さんのお母さんが思っただけなのか・・・。


もし先生が知ってたのなら、どうしていじめを見て見ぬフリするの?


先生を責めるつもりはないけど・・・。


私は、平松先生を信じたかったのに―――。



「そうだわ、みなみちゃん」


「え、あ、はい」


ふいに言われてびっくりした。


「彩乃の部屋、行ってみる?そのままにしてあるの。


 私も遺品っていったら悪いんだけど、いろいろ探したりしようと思ってたから、一緒にどう?」


「あ・・・ありがとうございます!」


小塚さんの部屋は、リビングを出て右にある階段をのぼり、突き当たりの左にあった。


ドアには、「AYANO」とかかれた、かわいらしいプレートが掛けてあった。


戸を開けると、黄緑を基調とした、クローバー模様の多い部屋だった。


棚なども、きっちり整理してある。


「机の中もどうぞ」


引き出しの中は、物が多いけど整理されていた。


その一番手前に、音符模様の封筒があった。


『私の大切な人へ』


あて先には、そう書かれていた。


なかの便箋をそっとぬきだす。


便箋は、全部で7枚ほどあった。


ゆっくりと開いた。


私は、衝撃を受けた。





「彩乃は、学校に行くのが本当にたのしそうだった。」


「そうだったんですか・・・。」


水色のハンカチでそっと涙をふきとっていた。


私は、手にぐっと力を入れた。


「本当にすみませんでした!」


「・・・え?」


うつむいていた小塚さんのお母さんが、テーブルから私に視線を向けた。


「私、小塚さんを助けられなかったんです。

 

 今さら謝ったって意味がないかもしれないですけど・・・。


 本当にすみません!」


頭を下げた。


「そう・・・。正直に言ってくれてありがとう。」


少しの沈黙のあと、静かにこう言った。


「先生から聞いていたの。事故の原因とか、彩乃がいなくなって、学校はどうなっているのか。


 一部の人が、『彩乃は殺された』なんて思ってるらしいけど、本当にこれは事故なんだから、みなみちゃんには責任はないわ。」


知ってたんだ。


一部の人っていうのは、沙弥たちのことだと思う。


そのことは、先生は知ってたの?


小塚さんのお母さんの、


「みなみちゃんには責任はないわ。」


っていうひとことに、なにか違和感を感じる。