ふわふわ、り。 -8ページ目

ふわふわ、り。

プシコの日々を綴ります

歩き慣れた町が、いつもより歩きやすくて明るく見えた。

たまに吹く風は、秋を連想させる冷たさで、その季節は大好きな人の誕生日の頃。

落ち葉こそ舞っていなかったけれど、肌寒い夜。

時間が足りなかった。
もっと話したかった。
ずっと話していたかった。

これから、夏本番。
私には、正念場。ある意味、本番。
思考を大人にしなくちゃ。
悪あがきは、みっともない。


最後の最後くらい、綺麗に。
胃痛で眠れない。
身体を丸めれば、幾分楽にはなるけれど、気休め程度。

吐血の回数は徐々に減ってきている。それが回復なのか、器官に耐性がついたのかは判らない。

脚の関節は、滲みるような痛み。
大きな何かで殴られたような鈍い痛みは、後頭部から脊髄へ拡がる。
傷だらけの身体が、悲鳴を上げているように思えてくる。

たまに身体が大きく震え、それは、自分の意思では止められない。

短時間であれ、眠れば寝たで悲しい夢ばかり見て、涙を流して起きるようになったのは、いつからだろう。

毎日毎日、よくもまあバリエーションに富んだ悲しい夢ばかり見るものだ。

寝ても覚めても苦しくて悲しいなら、無理に寝なくてもいいのではないか。

身体中の痛みも辛いが、悪夢は心痛を促進させる。


寝るのが、怖くなってきた。
外に出たら、7月なのに、思い出したのは秋の夜。
真っ暗な夜道を歩くと、暗さの中に際立つ駅の灯り。
でも電車はとうに終電が去った後で、タクシー代を浮かせようと、また暗い夜道に身を隠すように歩き出した夜。

枯れた銀杏が夜風に吹かれ、乾いた軽い音がした。
今夜は、その音はしなかった。

まだこれから真夏を迎える今なのに、空気のニオイまで秋の夜。
湿気を帯びない風は、すごく懐かしい気持ちにさせられた。

あの秋を越え、冬を迎え、春が来て、一瞬だった梅雨を終えた。

散々だった1年が、あと数日で切り替わる。
1年の出だしは元旦だけど、私は誕生日こそ節目だと思う。

前厄、本厄、後厄…
色々あるけど、自分の中では本厄だったこの1年。
厄は数え年とか、細かい事はこの際抜き。
私が本厄と判定したこの1年は、何度も人生を投げようと試みた。
存在ごと否定され、ここまで人格は壊れた。

今は後遺症との闘い。
傷が癒えるには、何年かかるのだろうか。
秋の風を気持ちいいと思え、全身で季節を感じ、心の底から笑える日は来るのだろうか。

笑い方が、わからなくなった。
怖いと思う対象が増えた。
悲しいと思う出来事も増えた。
支えが無くなった。
色んなものが壊れた。
総てがくだらないと思うようになった。

無感情の、無関心。

悲しい生き方しかできなくなった私に、もうチャンスはないのか。
逆境に弱く、逃げ出す事しか考えられない私に、この先道はあるのか。

道に、外灯は点くのか。
枝分かれしてもいいから、せめて進むことのできる道に、身を置けるのか。

道の先が崖としか思えない。
崖と分かっているなら、いっそ走ってみようと思う。

どうせ崖なんだから、恐る恐る墜ちるより、思いっきり飛び降りてやろう。