未来の約束 1 | ももたろう子のブログ

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「宮」大好きで、お話を書いていました。
引っ越し中です。

「きっと会える・・・会えばわかるはずだ・・・・」
『ホント・・・ホントに、わかる?』
「ああっ・・・」

にっこりと微笑む、ぷっくりとした唇
思わず、その頬に手を伸ばす・・・




―――ピ ピ ピ―――

軽い電子音で、シンは、はっと頭を上げた。
時計を見ると自分の記憶にある時間から、15分が経過している。
昼食後に、ソファーに体を沈めた後、記憶が途切れたようだ。


「珍しいな・・うたた寝か?」
腕を前に組み、珍しいものでも見つけたような表情で、男が立っていた。

「いや、ギョン・・・最近・・・なんだか・・・」
最近夢を見るようになった。
必ず出てくるのは、さっきの女性だ。
いったい誰なのか・・・

ゆっくりと頭を振ると、シンは立ち上がった。
「ラボに行ってくるよ。明日から大きなミッションが待っているからな。」
「ああ、それがいい。ヒョリンにしっかりと見てもらうんだな。隅々まで!」
ギョンはそう言うと、にやりと笑って隣を通り過ぎるシンの肩をポンと叩いた。


銀色に囲まれた長い通路を静かに滑っていく。
右手のアリーナは、グリーンスペースになっている。
天井から降り注ぐ明るい光を、緑の葉が反射する。
それに続く、オープンスペースでは子どもたちが歓声を上げていた。

通路が右へと進む。
幾つものラボが重層的に並んでいる。

機能的で先進的
近年になって、画期的に生活が向上してきた。
それに伴って、交易、技術提携を求める国との交渉が飛躍的に増えてきている。



シンは入口で、ヒョリンのラボのボタンを押した。
足元が浮き上がり、6-2と示された、ヒョリンのラボの前へと体が運ばれていった。
銀色のドアが静かに開く。
白いテーブルに向かって、熱心に何かを打ち込むヒョリンの姿が見えた。


「シン、どうしたの?顔が暗いわ・・・眠れてる?」
視線が入口のシンに向いたが、手元はテーブル上だ。
「食事は?今度のミッションで、ストレスかしらね。」
ヒョリンの指先が、最終コマンドを打ち込むと、ラボの正面の大きなスクリーンに、会議場が映し出された。

幾つかの点滅が画面上を動き回っている。
緑は警備配置
赤は重要人物の動き
「国家間の取引にしては、訪問団が少人数でしょ。あなたはどう思っているの?」
ヒョリンはそう言うと、やっとシンのほうへと体を向けた。

「そうだな・・・取引というよりも、好意的な・・・そう、同盟という名の婚姻・・・・」
「ザッツ、ライト!私もそう思うわ。ユル様のお相手候補として送り込まれてくると思うのよね。でも・・・対等な婚姻関係でなければいけないと思う。相手の要求を見極めるのは最重要事項ね。」

「そう・・・だが・・・。いいのか?」
ちらりとヒョリンの表情を伺う。
「いいも、悪いも・・・・これは、我が国の大事なミッションでしょ。」


ヒョリンは立ち上がると、窓のほうへと移動する。
こんな時は、表情を人に見せようとはしない。
「シン・・あなたは、国賓の警備に当たるのだから、しっかりしないと・・・薬は出さないわよ。自分で何とかするでしょ。」

「了解!最善を尽くすよ。お前の顔を見てよかった。気合が入ったよ。」
シンはヒョリンに頭を下げると、入ってきたドアから静かに外へと出た。
あとは、王との謁見を済ませ、明日の訪問団の到着を待つのみだ。
シンは、王宮へと向かった。



ユル、シン、ヒョリン、ギョン・・・アカデミーで共に学んだ、友だ。
学生時代は、自由で・・・論を交わし、酒を酌み交わし・・・未来を語り合った。
友情を深め、互いの理解は・・・愛情も育む。

シンはユルとヒョリンの思いを感じていた。
しかし、立場がそれを口に出すことを拒んでいた。

ユルはそのまま、国主となり・・・
シンはユルの側近としてその傍に身を置き
ヒョリンはアカデミーに残り、その才能をいかんなく発揮していた。