<span itemprop="headline">低温やけど、手術は待って</span> | どんぐりころころ

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女・男・女3人の子育て(1999、2002、2005生まれ)の話題中心に、
ほんの時々更新します

今回の話題は、約一年前の年末に起こったこと。
mango(当時中1)の部活最後の日、
朝起きて、足が痛い、ちくちくする、という。
見ると、足首の少し上が、赤くなっている。
原因不明のまま部活に行って帰宅すると、
痛がっていたところが卵大の水ぶくれに。
そこではたと、もしかして湯たんぽによる
低温やけどかも、と思いいたったのだが、
直後には大したことなかったからと
(ここが低温やけどの油断してしまうところ…)
年末でもありガーゼで覆って様子を見ることにした。
(湯たんぽは、柔らかいシリコン製で
カバーがファスナーなどでなく
枕カバーのようなかぶせ式。
そのかぶせ部分が洗濯で縮んで
シリコン部分が露出していたのだと思われる)
 
がしかし、水ぶくれがつぶれた後も
傷はじくじくしたまま、
年が明けてから駅の前の記念病院に連れていった。
年始のため形成外科の先生は不在で、
一時的な処置をして、また来てくださいと。
指定された後日また連れて行くと、担当医は
以前mangoが倒れてきた卓球台でおでこが切れた時に
縫ってくれた、50代くらいの優しいおじさん先生だった。
患部をみると、これは深いねえ、と眉を寄せる。
低温やけどは、見かけよりもダメージが深い。
皮膚は表皮の下に真皮があり、
表皮だけの損傷なら再生されるが、
真皮まで損傷を受けていると再生は難しい。
受傷直後の何でもない様子が記憶に新しく、
摘んだ花が徐々にしおれていくように
真皮まで徐々に悪くなっていくのを想像するのはつらかった。
少し様子を見て場合によっては皮膚の移植になります、
皮膚は足のつけ根など目立たないところから取ります、と言われた。
本を取り出し、カラー写真をいくつも見せながら、
皮膚移植の症例の説明。
これは手のやけどですね、術後はこんな経過になります、など・・・。
この本はうちで手術したものなんだけどね、と。
どうやら本を出すほど手術には自信があるので
安心してください、ということらしいが、
じゅうぶん衝撃だった。
待合室に戻るとmangoが無言で涙ぐむ。
私も、親として何てことしてしまったんだろう、
何で湯たんぽの安全性を確認しなかったんだろう、と
悔やんでも悔やみきれず。
処方された数種類の高価な塗り薬と特殊なガーゼで、
祈るような気持ちで毎日処置をしながら、
インターネットで低温やけどについて調べまくる。
すると、驚くべきことが分かってきた。
今までは、外傷は消毒をしてガーゼで覆う、
というのが一般常識だったが、
最近では「湿潤療法」といって、
ガーゼはダメ、消毒もなにもつけないで、
患部を洗ってラップでピッタリ覆って
空気にあたらないようにするのが、
一番良い、とのこと。
市販品としては、ガーゼの絆創膏でなく、
キズパワーパッドといった
患部をぴったり密閉するタイプの商品が
これにあたる。
そして、今までは皮膚移植が必要と
言われたようなやけども、
根気良くこの「湿潤療法」で処置すれば
切らずに治せることも多い、というのだ。
手術になれば入院、全身麻酔、一週間ほど安静。
傷は二か所残ることになる。
受けるダメージの差は歴然だ。
さらに、湿潤療法については、
今までの医療を覆すものであり
取り入れている医療機関は少数で、
とくに大学病院や総合病院では否定的、とのこと。
ネット上の、湿潤療法をしてくれる医療機関リストを見て、
県内に数か所しか載っていない中、
うちから車でそう遠くないところにクリニックを発見。
総合病院では、次回の通院で
手術するかどうか決めますと言われていたが、
学校を早退しないと受付に間に合わないので、
と断りの電話を入れ、それきり通院せず。
部活を休んでも間に合わないのは事実だった。
クリニックの方は、7時まで受付なので、
部活の後でも間に合う。
早速受診すると、先生は
中年のおだやかなおじさん
(いや、こちらもおばさんだけど)。
経過を話し診察すると、
深い傷だけど、何とか切らないで
治せるようにがんばりましょう、
絶対に大丈夫とはまだ言えないけど、と言われ
半分ほっとする。
そして、聞いたことのない高い薬でなく、
なんとただのワセリンを塗って、
食品用ラップ(ほんとにラップ)を四角く切って、
サージカルテープでまわりをぴったりとめて、
上から包帯で巻いただけ。
家でもこれを毎日やるだけ。
そのまま週に一回くらい通院を続け、
患部の真ん中がイチゴ状になったり
化膿したような色になったりしても
根気よくワセリンとラップを続け、
ちょっと赤くなってしまったときだけ、
リンデロンという薬に変わったりしたが、
とにかく自然治癒を待ち、
数週間後。
もう手術はしなくて大丈夫ですね、
若いから治るのも早いね、とのお言葉に
心からほっとした。
春になり、少しずつ患部が小さくなっていき、
5月頃だったか、
すっかり表皮に覆われ、治療は終了。
学校の水泳の授業にも間に合った。
おろおろしていた私にとって
クリニックの先生は救世主のよう、本当に感謝。
ほとんど何をしてくれた訳でもないのだけど。
一年たった今、
皮膚の表面は凹凸などは無く、
ここぶつけたの?という程度のあざは残っていて、
日焼けすると痕が残りやすいというので一応カバー。
傷跡が薄くなるという市販のクリームを塗って
ラップ(ではなく、湿布についてた透明の剥離シートを切ったの)、
小さく切ったテーピング用のテープ、
その上から肌色の幅広のテープを
毎日貼ってはいるが(この頃さぼり気味)、
数年でだんだん色も薄くなっていくようだ。
自分で処置出来そうなものだが、
贖罪と思って受傷当初から
私がしている。
 
低温やけどは実は多くて、
湯たんぽが原因になることも多く、
また高齢者だと体温調節機能が落ちていて
暖房便座でうたた寝をしただけで
低温やけどすることもあるそうだ。
総合病院の先生も
今シーズンだけで5人くらい来ている、と話していた。
二人の医師に、低温やけど気をつけましょうと言われたが、
人に言われるまでもなく私が一番反省。
 
当のmangoは一度も私を責めることもなく、
待合室で一度涙を見せた以外は全く感情的にならず、
多忙な中健気に通院してくれたので
なおさら自責の念にかられつつ
ここまで治って良かったと
心から思う。
 
治療費だが、
学校で全員入っている保険があって、
対象は三日以上の通院だったかな、
通院日数に応じてお金がおりて、
むしろ黒字だった。
ガソリン代も入れてちょうど位かな。
 
本当に、低温やけどで手術と言われた人には
湿潤療法を知ってほしい。