続けて北野武監督の2008年公開の映画「アキレスと亀」を観ました。


あらすじ


裕福な家に生まれた少年の真知寿(まちす)は“画家になる”夢を持っていた。
しかし突然両親が亡くなり、環境が一変してしまう。ひとりぼっちになった真知寿は、画家になることだけを人生の指針として生きるしかなくなった。
そんな愛に見放された真知寿の前に、ひとりの理解者が現れる。
絵を描くことしか知らない彼の純朴さに心惹かれた幸子である。
やがてふたりは結ばれ、真知寿の夢は夫婦の夢となった。
愛と希望に満たされ、様々なアートに挑戦するふたり。しかし作品は全く評価されない。
ふたりの創作活動は、街や警察をも巻き込むほどにエスカレートしていき、家庭崩壊の危機にまで直面してしまう・・・・・・。
うまくいかなくても前に進むしかない人生の中で、ふたりが確かに手にしたものは・・・・・・。


感想


真知寿の父が会社経営に失敗して自殺してしまったり、母が亡くなったり、仲良くしていた友人たちが死んでしまったり、とにかく衝撃的な死がたくさん出てくる物語だった。

しかし、作品自体は実に淡々としていて、変わることの無い真知寿の芸術への欲求と、妻という理解者を得てなお激しさを増す創作活動への熱意が時に異常なまでに高まる様は、観ていてかわいそうに思うこともあった。

しかし、真知寿にとっては描くことが喜びであり、それで食べていけなくても彼にはその人生を歩むしか道がなかったように思う。

章ごとの字幕の表示や登場する作品の数々にも芸術性があって面白かった。