学校の授業の課題で、北野武監督の映画「菊次郎の夏」を観ました。


この作品は1999年に公開された作品。

北野武といえば、バイオレンス的な表現を多く用いた映画が多いが、この作品は少年と菊次郎のひと夏を通して色々な体験をし、成長していくというハートウォーミングな物語になっている。


あらすじ


父親が死に、母とは別居している正男が夏休みに自分の母親に会いに行こうとするが、一人では危険に思った近所の奥さんが、その旦那である菊次郎(北野武)を愛知県豊橋まで一緒に旅させることにした。

はじめは全く目的地に連れて行ってもらえず、競輪や酒におぼれる菊次郎だったが、正男が変なおじさんにさらわれたのを助けてから、二人の仲はだんだん固い絆で結ばれるようになる。

ヒッチハイクや野宿を繰り返し、目的地へ向かう2人の不思議に温かい関係と、北野監督ならではの遊び心を交えた作品になっている。


感想


今や世界的に有名で、フランスなどで高い評価を受けている北野武監督。

恥ずかしながら、彼の作品を観るのは初めてだったのだが、ゆったりとした風景描写、サイレントなシーンなどから、映画のストーリー性だけでなく、観る人の心に響くようななにかが訴えられているように感じた。

また、細かくストーリーが章立てしてあり、ところどころに笑いの要素もたくさん詰まった作品だと感じた。

メイキングも観たが、監督として細かな指示を出すだけでなく、自分も出演者としてその作品の撮影を思いっきり楽しんでいるように見えた。大事に大事に制作された作品から、あたたかさが滲み出ている。

時折出てくるタップダンスや天狗の舞、歌舞伎調のシーンなど、さまざまなエンターテイメントを積極的に取り入れた興味深い作品だった。


----------------以下引用---------------


それは笑いと感動の物語。 「次の作品は誰でも知っている「母を訪ねて三千里」みたいなスタンダードな物語を、暴力なしの演出で描ききってみたい」。
前作『HANA-B1』の97年ヴェネチア国際映画祭グランプリ受賞後のインタビューで、北野武はそう語った。

デビュー作『その男、凶暴につき』(89)以来、映画の文法を壊し続けてきた北野演出の魅力は、台詞と説明カットを極端に切り捨てた"そぎ落としの美学"。突発的なバイオレンスを繰り出す主人公の心象風景を現すような、ブルーを基調としたその映像は"キタノ・ブルー"の名で世界に知れ渡った。そんな独自のスタイルを確立してきたにもかかわらず、彼の最新作は、ヴェネチアの約束通り、今までの作品イメージを大きく変える「笑いと感動」のドラマとなった。

勝手気ままに生きてきた大人に成りきれない主人公・菊次郎が、9歳の少年正男の母親探しの旅に付き合うはめになる。ふたりの「少年」たちが旅の中で様々な人や事件に出会い、現実の厳しさと人々の優しさにふれながら成長していくその数日の旅、浅草から豊橋までの往復600キロの行程を彩るのは、温かい日本の原風景。北野武は、母親探しの旅という、ポピュラーなストーリーをモチーフに、"人と人の距離の置き方"を素直な心で思い起こさせ、涙させる作品を作り上げた。


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