分野: 社会問題
評価: 3
医療少年院に勤務していた著者が、非行少年がそこに到る原因として発達障害や知的障害を持つケースについて報告している。
殺人や性犯罪を起こす少年達にIQを図る知能テストを実施させてみると、認知能力に欠陥があるケースが散見されるという。彼らの能力の欠如は、先生や友達に明確に認識されることなく、同じレベルの教育を与え続けられ、対処の方法を失いストレスが蓄積されて犯罪に走る。こういった少年達の振る舞いや特徴は小学2年生頃から現れ始め、サインを見逃さず擁護クラスへの編入や適切な教育を施すことが重要であるとしている。
非行を犯す少年には社会の全てが歪んで見えているという説に納得させられた。発達障害という見えにくい障害に対する対処が少しずつ見えてきているのが今の状況のように思われる。本書にある通り、一番必要なのは周囲の理解である。できないことはできないと認めてあげて、無理に押し付けないことが必要なのだろう。当然周りの負担は大きいが、多様化に向けた寛容さが求められている。
偏見を失くして相手の立場に立とうとすることが大切である。
ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書)
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評価
5:大変面白い、名作
4:かなり面白い
3:普通に面白い
2:あまり面白くない
1:全然面白くない