分野: 人物伝
評価: 3
ノンフィクション作家が民俗学者宮本常一を書いた渾身の人物伝。初出は1996年。
宮本常一は、戦前から戦後にかけて日本全国を渡り歩き農民や村民達と直接触れ合うことによって土地の暮らしや風習を書き記してきた。踏破距離は約16万キロに及ぶという。人の心を掴む不思議な魅力があったといい影響を受けた文化人も多い。その貧しい旅を支えたのは、生涯パトロンとして援助を続けた渋沢敬三である。日本経済の礎を築いた渋沢栄一の孫であり、民俗学発展への拘りを持ち続けた財界人であった。本書は、宮本と渋沢の断ち切れない絆を軸に二人が歩んできた民俗学貢献の道のりを描く。
本文約450ページの大作である。膨大な資料調査と取材に基づいて書かれており、宮本や渋沢の生涯及び彼らと接した人物達との関係がよく分かる。宮本常一が実地で集めた知識が遠大であったことが彼と接してきた人々の証言からも伝わり、著作を読んでみたいと思わせられる。宮本が注目されたのは彼の死後であり、功を求めず人生を賭すことができる強みに憧れるとともに、生涯をかけた偉大な功績は後世で評価されるものだということも改めて思い知らされる。
人生を濃密に生ききった二人の人物伝として、読み切った時の満足感がある。
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旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三 (文春文庫)
1,037円
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評価
5:大変面白い、名作
4:かなり面白い
3:普通に面白い
2:あまり面白くない
1:全然面白くない
