分野: 旅
評価: 4
暗闇の中で北極圏を踏破する壮絶な冒険の記録。今年創設された本屋大賞ノンフィクション本大賞受賞作。
極夜とは、白夜の対義語で太陽が沈んだ状態が続く現象である。著者は、極夜が数ヶ月も続く中での精神状態とそれが明けて太陽を見る時の感覚を体験すべく極夜行を計画する。自らの身体と犬一頭とで橇を引きながらツンドラの海岸を横断する過酷な旅である。準備に数年を要した上で2016年12月に最北の村を出発。暗闇の中で一人と一頭に如何なる運命が待ち受けるのか。果たして極夜から明けた時の太陽を見ることはできるのか?
暗闇の出来事を描いているはずなのに、臨場感が情景として頭に浮かぶ。数度にわたるブリザードの襲来や、白熊にデポ(補給地点)の食糧が荒らされるなど、計画を阻む困難の連続。狩りでの食糧調達が不発に終わると、生きるための最終手段として考えねばならないこと...。しかし、著者の楽天的な性格もあろうが、文章は硬くはなく笑いも交えて書かれている。
冬にこそ読みたい冒険ノンフィクションである。
極夜行
1,890円
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評価
5:大変面白い、名作
4:かなり面白い
3:普通に面白い
2:あまり面白くない
1:全然面白くない