毎回初っ端は、前の週に借りた最後の一冊になるんだけど下差し

壮絶だったー

著者を検索してみるとノンフィクション作家となっているが、さすがにこれはフィクションである。

四国の山中にハンセン病患者の通る遍路道があった。

彼らは "遍路カッタイ" と呼ばれており、密かに "カッタイ寺" も存在していた。

まだハンセン病が解明されてなかった時代である。

世間や家族からも疎まれ、追いやられたハンセン病患者の孤独と恐怖。

遍路道近くの村人たちとの軋轢。

村という偏狭な共同体で生きているからこその、異分子を排除しようとするエネルギーは狂的で凄まじい。

あらゆる戦争でも言えることだが、人間の醜悪さと哀しさを突きつけられる。

 

ただ、孤独と恐怖のなかでも人々は光を見出そうとする。

最終章が素晴らしい。

救われるのである。

 

 

 

先日、「横尾忠則 87歳の現在地」をBSで観た。

飄々としたユルい感じは変わっていず、ゴロゴロしながら絵を描いていたアップ

87歳というお歳を思えば、そりゃあリスペクト以外にありません。

だから、図書館で下差しを見つけてニンマリニヤニヤ

才能と人柄が引き寄せるのだろう。

国内外を問わず、偉大な芸術家、作家、そして科学者たちとの出会いとコラボ。

三島由紀夫、瀬戸内寂聴、河合隼雄等々、なかでも河合隼雄氏との逸話には唸ってしまう。

本

心理学者の河合隼雄氏と一緒に本を作り、その前書きを横尾氏が、後書きを河合氏が書かれたらしい。

横尾氏が "魂" と言う言葉を使ったのに対して河合氏が言う。「横尾さんはいいですねぇ "魂"という言葉が使えて。自分たちは"魂"という言葉が使えない。」

西洋ではユングなど使える基盤があったというのだが、、、となる。

 

現代の科学では "人間は肉体と精神からできていて、そこに魂は入っていない" となるのである。

霊体と幽体の話、夢の話、、、なるほどと思ってしまう。

そうすると、「横尾忠則 87歳の現在地」で言われていたように、死ぬということは旅に出かけるような気分〜と言うのが少しわかる気がするウインク

 

 

 

もちろん、初めての作家さんである下差し

ユリシス、リトープス・フーケリ、ナローボート、トロス、ポジャギ、と五つの章から成っている。

一枚しか刷らない版画 "ユリシス" を親友にあずけた後に、天才版画家が行方不明になる。

18年後に複製版画が出回り、親友の政治家は調査を依頼するのだが、、、そんななか版画家が白骨死体となって発見される。

1章では版画家と政治家の高校時代が描かれ、2章では中年夫婦の生活が、そして3章では貧困者のためのレストラン、ナローボートが舞台である。

つぎつぎと話が展開していく中で、18年前の人の繋がりが明らかになっていく。

進め方が上手くて、目が離せなくなるのである。

けっきょく1日で読んでしまったんだなぁ。