ことば遊びのようなタイトル下差し

五つの短編は、すべてに子どもが絡んでいる。

そして、けっきょくは其々の生きる姿に繋がっていく。

不妊治療、養子、幼い子どもを亡くした夫婦、子どもが嫌い(好きではない)と思う女性、乳児施設で育った女性、とその辺を女性に向けているのは "母性" に拘ろうとしているのか〜

男性にも向ければ、また違った見え方があるのでは〜とも思うんだけど。。

 

まぁ、やさしく理解のある男性陣が多く出てくることで安心して読み進めたんだけれど、現実はもっと複雑に絡まり合っている〜と感じるなぁ。

でも、自分でも驚くほどスピーディに読み終えたのは、精神的にラクだったんだろうなぁ真顔

 

 

 

初めての作家さんであり、選ぶ基準は新しそうなもの(保存状態がキレイなもの)ウインク

読み出すと、離れられないモノ〜を感じ出す汗汗

辻仁成の「永遠者」に出てくるバンパイアはまさに吸血鬼であり、なかなか死ねないのだが、上差しに出てくるのは生育がとりわけゆっくりで、所謂 "早老症" と真逆の女性の話。

使用人が多くいる裕福な家に双子として生まれ、親からの愛情は充分に受けているものの、その存在を公にはできないために辺鄙な地に建てられた豪邸に皆で住み、その蔵に住まわされた子の名前は "嘉栄"

双子の妹になる "豊世" に言わせれば、すべてが "嘉栄"を中心に回っていたと。

両親はもとより、豊世も、そして姪の静子も、その子どものるり子も亡くなっていく。

家族にとっては何とも表立っては言えない厄介で忌まわしい存在な "嘉栄" なのだが、、、若い頃には主治医の病に対する研究心と畏怖の念もあり、主治医と共にイギリスや満州にも住み "初めての自由" を味わっている。

これらの話上差しは、作家になった静子が豊世から "家の秘密" として伝え聞かされていたものを作品にしたものなのだ。

そして最終に出てくる「嘉栄附記」と云う嘉栄の独白が、これがまた怖いんだなぁ汗汗

 

 

 

初めての作家さんが続きます下差し

毎回のように書いてしまうんだけれど、図書館本には上差しのような帯がついていない。

読み出すまで内容は分からない、のが面白くもあるんだけれど。。

「運転手」「恋」「伝言」「姉」「拳銃」「カード」「少年」という短編は、それぞれ繋がっている。

誰が主人公というのではなく、それぞれの人生が絡み合う。

秘密にしていること、公然と道を外すこと、伝えるのはもっと先でも構わないのでは〜と躊躇していること、、、

そうして、それらはバニシングポイントに向かっているのか。

"物事が存在しなくなる消滅点、限界点、平行な線が合流するように見える点" がバニシングポイントという事であるならば、そうかもしれない。

読んだ後に調べてみたら、この作品にいくつかプラスして文庫本が出ているらしいのだが、タイトルは「事の次第」だそうだ。

 

1970年製作の同名の映画を観ると、また感じ方が変わるかもしれないなぁ。