
発芽玄米麹造りはまたもや失敗に終わりました。
種麹を混ぜてから約44時間で糖化しはじめました。
部屋中がフルーティーな香りに包まれています。
あまりにも早すぎる糖化。
玄米の麹は時間がかかると聞きます。
普通の白米麹でも48時間は要します。
▼44時間後に加温をやめると品温は24度にまで下がりました。

ということはもう麹菌の仕事は終わっていたのかもしれません。
味噌作りに必要なのは麹菌では無いようで、麹菌が作り出す酵素が重要なのだそうです。
何も知らずに麹造りをしていましたが、失敗していろいろ調べているといろんな事がわかります。
▼アップでみるとこんな感じ。

ふにゃふにゃになっています。
またしても失敗!?と、思うのは早合点かもしれません。
麹を作るという目的に於いてはイマイチ納得できないですが・・・。
これが必ずしも失敗ではないかも?と思う理由をこれから書きます。
▼今日の朝4時にははこんな感じだったのですが・・・

この玄米につけた傷から麹菌が入り、米の澱粉を糖に変える作業がすでにこの時から始まっていたのだと思います。
この白いふわふわの麹の菌糸は味噌作りにも日本酒造りにも全く必要のないものだと知りました。
この菌糸は「気中菌糸」「気菌糸」と呼ばれ、低温・高湿度で増殖する性質を持っているようで、
それが成長すれば・・・
▼このようになります。

先日見つけた麹蓋での胞子をもった麹菌です。
早い話が種麹を作るには気中菌糸の成長が肝心です。
昔話の花咲か爺さんは種麹を作る際に灰をまぶして作ったそうです。
灰は気中菌糸を伸ばすために有用なものらしいです。
しかし、味噌作り、日本酒作り、醤油作りには気中菌糸ではなく、
お米の中に入り込んだ「基底菌糸」が必要だそうです。
いわゆる「ハゼ込みがいい麹。」と呼ばれるものです。
ふわふわの気中菌糸に覆われた「ハゼまわりの良い麹」は意味がないという事らしいです。
低温・高湿度で発達する気中菌糸。
加温をやめて温度を下げると綿のような菌糸が増えるのが納得できました。
白く塊になっている麹を目指していたのがバカバカしくなりました。
そして、糖化を始めて甘い香りを出し始めた麹ですが、これを味噌に使ってもなんの不具合もないそうです。
逆に味が複雑になっていいそうです。
ただし、清酒の醸造に於いては酒に色がつくので嫌われるようです。
味噌作りに使うにしても糖化が進みすぎてアルコール発酵までしていればダメかもですが。
そこで、湧いてくる疑問はなぜこんなにも早く糖化が進んでしまったのか?です。
仕込んでからたった44時間。
しかも、麹室内の温度は30度をキープして、品温は40度まで上がった後は38度以下をキープしました。
湿度は80%から90%です。
原因は種麹の種類にあると思うのです。
種麹にも様々な麹があり、甘口味噌に向くもの、辛口味噌に向くもの、日本酒に向くもの。
そして、甘酒に向くもの。
普通の白米麹を作るのには最初に近所のお味噌屋さんから頂いた(今も使ってる)種麹で良かったのかも?
しかし、メーカーサイトを調べてみると・・・。
▼甘酒用とされています。

左側が「W20」という塩麹用。
右側のが私が使っている品番も何もない甘酒用の種麹。
これについては以前も調べましたが、種麹の袋に甘酒・味噌・醤油・・・とは、書かれていますが、
白米麹や麦麹には使えても発芽玄米麹には向かないのかもしれません。
▼同サイトの麹の特性一覧です。

私が使っている麹については何も書かれていません。
ただ分かったのは糖化の速度が種麹によって様々だということです。
きっと甘酒用に向くほど糖化が早いものだということは確かだと思います。
ササシグレというお米の品種にも関係があるのかもしれません。
アミロースは高めの品種ですが、発芽玄米ご飯にするとモチモチしているんです。
ハッピーヒルを蒸し米に使ったときはとても綺麗な麹ができましたし・・・。
ただ言えることは今回の麹は手前味噌を作るという目的に於いては失敗ではないという事。
そして、一般的な見た目の発芽玄米麹にするには種麹の選択が間違っていたかもしれないというっことです。
あと1.5kgの発芽玄米はすっかり発芽しています。
今から別の種麹を取り寄せる時間なんかありません。
仕方ないので温度設定だけちょっと変えて仕込んでみようと思います。
にしても、奥深し・・・発芽玄米麹造りの世界。