
無農薬で稲作をするということは草との闘いをすると言う事です。
田植え直後に草取りが始まり、水田の規模にもよりますが、出穂し~開花する頃まで延々草取りの日々です。
冒頭の写真は草が生えて、さらに猿と鹿に全滅させられた山田の1枚の様子です。
株元にはコナギがビッシリ・・・
農薬を使わず、もっと効率のいい除草方法は無いものだろうか?
出来る事なら草が生えない方法があれば知りたい。
水稲栽培を行っている人なら誰でも耳にした事がある「冬期湛水」もその1手段だと思います。
冬期湛水(とうきたんすい)とは秋のうちに水田にミネラルや有機物を投入して田んぼに水を入れます。
そして、発生したイトミミズ等を下辺とし、鳥類を頂点とした生態系を作り上げる方法です。
それを行うとどうなるかというと、
イトミミズが泥を食べて水底に泥とともに微生物等の排泄物を蓄積する事で土の表面がトロトロになるそうです。
結果、水田稲作の大敵のコナギ等の水生雑草の種がイトミミズが出した泥に埋もれて発芽出来なくなる様です。
さらに、生態系に加わる生き物の排泄物も蓄積されて尚かつ一部の藻類により窒素固定もされるようです。
これで土が肥沃になり、無肥料・無農薬の稲作が可能になる・・・
という、私からしてみれば夢の様なお話です。
しかしながら、あんな日当りの悪い山田で冬期にイトミミズが発生し、生態系が作られるのだろうか?
そんな疑問・・・というよりも、不安がわいてきます。
折角冬期湛水して田植えまで辛抱しても、生態系はともかく、トロトロ層が出来なければ逆効果です。
ということで、実験してみることにしました。
▼これはハッピーヒルの育苗箱です。

育苗箱と言うか、パン箱を使って育苗してみました。
3年間肥料を入れていない土に稲藁を敷き詰めて育苗したのですが、苗を取ったあとでもそのまま置いています。
するとそこには・・・
▼水田雑草のタマガヤツリが・・・

そして、実験材料としては念願のコナギが生えてくれました。
▼花も咲いています。

この花ひとつで8000粒とも10000粒とも言われる種子が作られる様です。
さて、このパン箱からハッピーヒルの苗を取ってから3ヶ月半経過しています。
土の表面はどうなっているでしょうか?
▼とろっとろです。
ナゼ!?
探してみてもイトミミズは1匹もみあたりません。
じゃ、このトロトロ層はどうして形成されたのでしょうか・・・???
▼すこし深い所を探ってみます。
深さで言えば大凡2~3cmくらいでしょうか?
この辺もかなりトロトロです。
▼更に深く掘り起こすと今度はガスがブクブクでました。
ということは・・・このパン箱の表層のトロトロ層はこのガスが原因で出来たものでしょうか?
だとしたら、秋の間に有機物をどっさり入れればトロトロ層は出来上がるってことでしょうか?
イトミミズは関係ないのかも?
このまま水が枯れないように春まで様子を見たいと思います。
ひとつ気になるのがこの写真です。
▼発芽して間もないコナギがトロトロ層に覆われています。

発芽後にトロトロ層に埋もれたのであれば何も気にする事はありません。
しかし、トロトロ層に種子が覆われていながらもコナギが発芽したのならトロトロ層の意味はありません。
冬期湛水・・・やっぱり実際に行うにはちょっと勇気がいります。
平野部での水田なら希望の光も見えるんですけど・・・。
とりあえずは再来年の稲作(来年の秋)での冬期湛水にむけての実験と言う事で様子を見てみます。