雑念にエルボードロップ!からのマシンガン読書!

雑念にエルボードロップ!からのマシンガン読書!

赤坂でITベンチャーに働くビジネスマン(経済学修士)がおくる読書録。

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標準的な経済学では合理的な経済人を仮定する。
自分が何をどれだけ求めているのか、どんな人生を送りたいのかを理解し、計画を立て、実行する。

しかし、実際は完璧ではない。人は決心したダイエットに失敗するし、意思決定はそのときの状況に左右されブレブレだ。行動経済学は実験を通じて、人間の意思決定メカニズムについて従来の理論に修正を与えようというのである。(標準的な経済学が完璧でないことは確からしいが、それが経済学が無用であることを意味するわけではないことだけは付け加えておく。)

TEDにも複数回出演し、ユーモアたっぷりに人間の不合理さについて説くダン・アリエリー教授。文章の中にもジョークのエッセンスをちりばめており、退屈することなく読み進めることができる。


『予想どおりに不合理』は、いわば昨今の行動経済学ブームのきっかけともいうべき同氏の主著であり、『ずる』は同書でも取り扱われた、人びとが不正をはたらく理由について焦点を当てた作品である。文中では以下のような、Tipsを得ることができる。

・比べ易いものを比べ、比べにくいものは無視する傾向がある。
・(価格などの基準について、)最初に納得した基準は後々の結果に作用する。
・決断を迫られたときに、「決定しないことによる影響」は忘れられてしまう。
ここでは、私の印象に残った2点について紹介することにする。

1.市場規範を社会規範に持ち込まない

社会には2種類の規範が混じり合いながら存在している。需要と供給の均衡により価格が決定する市場規範と、勘定ではなく信頼関係で構築される社会規範だ。貨幣経済が浸透しても、家族や友人との間に市場経済を持ち込んではいけない。

例えば、アリエリー氏は言う。妻と最高のセックスをしたからと言って報酬を渡してはいけない。あたり前だ(笑)でも、これならどうだろう。大学時代、試験期間中に友人にノートを借りる。よくあることだと思う。その友人にお礼にスタバでコーヒーくらいご馳走しようかなと思いながら。だが、そこで友人に「300円だね。」と言われればカチンと来るに違いない。

これは300円が法外な値段だからではない。社会規範のなかに市場規範を持ち込まれたからだ。逆も然り、先ほどの例のように報酬を支払われるとしても問題になる。アリエリー氏は実際に実験をおこないながらこのことを実証する。ただ面白いのはモノになると抵抗感が薄れる、ということだ。お礼は態度とプレゼントで。

2.疲れればしくじるし、不正をはたらく

同書によると、多くの人は少しずつずるをする。ばれない程度ではなく、自分に言い訳ができる程度にである。それではどんなときにずるが増えるか。

本能に惑わされたときに人は自制の力をはたらかせ均衡を維持する(=我慢する)。だが自制のためにエネルギーを消耗すると疲れが出てブレーキが利かなくなる。そうなるとこれまで我慢できていた誘惑を振り切れなくなってしまう。疲れた夜は誘惑を近づけない。


これら2冊を読んで得られる知識は数多いため、2点だけの紹介に留めておく。要となるのは自分の行動・インプットが自分を形作り、次の行動を決定するということである。