出版社サイト


〈あらすじ〉

謎が「きこえて」くる。

衝撃が、あなたの耳に直接届く。

物語×音声。小説を立体的に体感する、まったく新しい「謎解き」の新体験型エンタメ、誕生!

突然死んでしまったシンガーソングライターが残した「デモテープ」。

家庭に問題を抱える少女の家の「生活音」。

何十年ぶりに再開した二人の男の「秘密の会話」。

夫婦仲に悩む女性が親友に託した「最後の証拠」。

古い納屋から見つかったレコーダーに残されていた「カセットテープ」。

私たちの生活に欠かせない「音」。
すべての謎を解く鍵は、ここにある。
(出版社サイトより転載)

〈感想〉
いやー面白かった!予想外の方向に進む話ばかりで全然謎解きはできなかったけど、満足感たっぷりで読み終えた。

本物の「音」で謎が解けるという、今までにない読書体験で新鮮だった。

動画サイトの普及がまさか本の枠を超えた新しい読書スタイル提供するなんて。

『いけない』を読んだ時も思ったけど、色んな新しい事に挑戦されて、すごい作家さんだなぁ。

⚠️以下、ネタバレ注意!⚠️

「きこえる」

おおぅ…心霊ホラーと人間怖いが混ざった話だった。解説読んで〇〇を訪ねてきた男の正体がわかった。まだまだ読みが甘い自分。
気づかなくても心霊的な怖さがあるので、ちゃんと面白い。

「にんげん玉」

うわー、やられた!なるほど!「先生」ってそっちね!面白い。

「セミ」

あらやだ、結構いい話じゃないの。一番最後の音声が聞き取りづらくて、解説読んだらやっと分かった。
この作者さんは、子どもが主役の作品は子どもを徹底的には酷い目に合わせない主義なんだろうな。

「ハリガネムシ」

うわー!これもすごい!音声聞いてもピンとこなくて、解説見たらすごく怖かった。

なるほど!気づく人すごいなー!いきなり沙耶の声が近くに聞こえたから、そういうことね。分からなかったよー泣

子どもを酷い目に遭わせないとは書いたけど、『いけない』同様、女子高生はかなり酷い目に遭ってるね。

「死者の耳」

死んだ画家は人生に絶望していて、死ぬ機会があればいつでも死ぬつもりだったんだろうなぁ。

お金の心配がないだけ、かなり恵まれていると思う。才能がないだけで病んで自分から不幸になっていくとか、偉大な親を持つのも大変ね。

浮世離れした不思議ちゃんの元奥さんとずっと一緒にいればよかったのに。

〈余談1〉
最後の「死者の耳」で出てきた鑑識のおじさん「シロさん」って『いけない』で出てきた人だよね!?って思って調べたら、作者がツイッターでどこかで再登場させるかも?って呟いてた!
やっぱり同一人物なんだ!気付いて嬉しい。

〈余談2〉
道尾秀介さんの公式サイトがあることを今初めて知りました。直筆もサイトに上げられており、達筆でかっこよかったです!