《あらすじ》
鳥取県紅緑村。1950年代、ある1人の少女が置き去りにされた。彼女はこの土地で「辺境の人」と呼ばれる者達の子どもで、未来が見える不思議な力を持っていた。名は「万葉」といった。
村の若夫婦に引き取られ、満たされた生活を送っていた万葉だったが、ある日村の名家・赤朽葉家の大奥様に見初められ、跡取り息子と結婚することとなる。
激動する戦後の日本で少しずつ形を変えながら、赤朽葉家はどのような歴史を歩んできたのかーーー
万葉の孫娘・瞳子の視点からその軌跡が語られていく。
《感想》
私は最初の万葉の章が1番好きです。
主人公の祖母・万葉がはじめて赤朽葉家の家に入った時の描写が素敵でした。赤い屋敷、美しい日本庭園、長い迷路のような廊下。別世界に入り込んだ雰囲気が伝わってきました。
主人公の母・毛毬はまさかああいう職業に就くとは…という感じでした。荒々しく、時代を駆け抜けていった女性の話でした。
最後の主人公・瞳子の章はちょっとしたミステリー?なのかな?万葉が死に際、瞳子に言い残した言葉の真相を探っていく感じ。
時代背景も交えながらの3世代にわたる赤朽葉家の歴史、読み応えがありました。
次は同著者『推定少女』を読みます。