《あらすじ》
18世紀フランス・パリ。新しい時代を求め、人々が革命に沸いていた。自由で平等な社会を作るため、フランスは王族制度の廃止を決定。
王族・貴族は死刑にかけれられることになる。
この作品は、その死刑執行を行った実在の人物・シャルル=アンリ・サンソンを題材にした漫画です。
ルイ16世をはじめ、マリーアントワネットやロベス・ピエールをも処刑したという彼が如何にして死刑執行人となっていったかが描かれています。
《感想》
必要な職業だとはいえ、「死刑執行人」は人々からは忌み嫌われます。
何より、どんな理由があるにせよ「殺人」は「殺人」、そんなことはしたくないのが普通です。
ですが、死刑執行人一族に生まれると本人の意思とは関係なくその跡を継がなければいけません。
人一倍「イノサン(純粋)」な主人公が葛藤を抱き、傷つきながらも少しずつ死刑執行人として成長していく姿が痛々しいです。 でも続きが気になって読まずにはいられません。
処刑のシーンも繊細な絵で細部まで描かれており、残酷なシーンのはずなのに美しいと感じてしまいます。
作中の死刑を見物している民衆と読者は変わらないのかもしれません。
『イノサン』に引き続き、『イノサン ルージュ』が続刊中。『イノサン』はシャルルが主人公、『イノサン ルージュ』はシャルルの妹・マリーが主人公となっています。
最新刊が出る度、購入していますが正直『イノサン』の4巻までが最高でした。ダミアンという農民が出てくるのですが、可哀想で可哀想で…読んでいて何回か目頭が熱くなりました。
でも!最近出た『イノサン ルージュ』6巻は久しぶりに印象的なシーンが出てきて面白かったです。
次巻も楽しみです。