2011年に主演・小栗旬で実写映画化された登山救命漫画。

主人公は山岳救助ボランティアをしている青年・島崎三歩。
亡くなった友との約束を果たすため、あるいは妻との思い出を巡って、など色々な思いを抱え日本アルプスへ挑戦する人々と三歩の交流を描いています。

過酷な状況の中での救命活動は時に心を鬼にしなければなりません。
2ヵ所で重体事故が起きた時、どちらを優先的に助けるか。
一人しか担いで下山するしかない時、どの人間を選ぶか。

登山のプロフェッショナルでスーパーマンのような主人公ですが、こういった場面がたびたび登場します。
どんなに登山救命に長けていても、人間の力には限界があります。

この作品を読むと山の恐ろしさ、決して生半可な気持ちで登山に臨んではならないと感じます。 一方で、登山の楽しみが山に携わる多くの人々によって支えられていること、なぜ危険を冒してまで山へ登る人がいるのかが分かります。

登山大好きな祖父になぜ山に登るのかと聞いたことがありますが、「頂上にたどり着いた時の達成感が忘れられない。頂上からの景色がすごい。」と言っていました。
そんな単純な理由で?と思いましたが、この作品の登場人物たちも同じ思いで登っていました。 作者も相当、山登りが好きなのでしょう。

読んでいると胸が熱くなる素晴らしい作品。