抗がん剤が始まって
初めて出かけたのは
髪の毛がほぼ抜け落ちたころ
親友の結婚式
抗がん剤が決まった時、
這ってでも行きたいと思っていた結婚式
ちょうど副作用が弱くなるタイミングだったので
勇気を出して行くことにした
初めてのカツラ
ホントにこれで良いのか？
何度も付け直した。
ちょっと気持ち悪さもあるし、
フラフラして力も出ないけど
慌てて通販で買った安物のカツラは
きっと違和感があるんだろうけど
久しぶりに病院以外の外出
しかも諦めかけた親友の結婚式に行ける
気持ちは明るかった
お化粧するの
いつぶりだろう
そーだそーだ
この曲
あれはもう10数年前
まだ独身で
毎週のように遊んでたいつもの友達と
何であんな話になったんだっけ？
飽きもせず毎週
よく遊んだなあ
あの子にも近々連絡しよう
あの約束
覚えてるかな〜
覚えて
無いだろな〜
あの約束
母親に、オットも追加してもらわなきゃな
BGMだけじゃなくて
あの子に私の葬式の企画してほしいわ
葬式の企画とかいい迷惑だ(笑)
でもきっと
あの子はやってくれるだろうな
私のお葬式は
あんな風にみんなにちゃんと悼まれるんだろうか
ゆうちゃんみたいに
きれいじゃなくても
私と言う存在は
惜しまれるんだろうか
私が死んだら
オットはきっと
再婚するだろうなあ
オットならすぐ、
そう言う人が見つかるだろうな
うちの子供達なら
きっと愛し愛されて
きっと幸せになるだろうな
大好きだから ずっと
何にも心配いらないわ
無邪気に笑ってくださいな いつまでも
(宇多田ヒカルさん/stay goldより)
私の事も忘れないで欲しいなあ
結婚式は親友の来てくれた人への
想いが伝わる素敵なものだった
身体は怠くって
出された食事は残してしまったけど
本当にこの時、結婚式に参加できて良かった。
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私ゆうちゃんのお葬式のあと
病気を題材にした映画や小説に対して
「本当の痛みを知らないくせに、
綺麗事にして…」
と嫌悪感を抱いていた
でも、結局私こそ何も知らずに
その場に居ただけで
おばちゃんの話を聞いただけで
自分が傷ついたつもりになって
知ったかぶりしてた
そして結局自分こそが
あのお葬式を神聖化してた
自分のお葬式の事を考えた時
ゆうちゃんのお葬式の影響が大きくて
でもそれは前よりリアルに迫ってて
色んな事を考えた
当時、こんな風に考えて泣けてきたりする事は
なんか悲劇のヒロインになりきってて
恥ずかしいって思ってたから
こう言う感情は隠してた
そして治療が進むとシンドくて
悲劇のヒロインにもなる余裕すらなかった
今考えると良いも悪いもないし
誰に向かって恥ずかしかったのか
とも思う
自分なんかを主人公にしたら
白けると思ってたんだ
でもこうやって悲劇のヒロインやってみたら
私はみんなが大好きなんだな
ってよくわかった
みんなが大好きな自分が嬉しかった
そんで
大好きだから何にも心配いらないよ
って
自分が欲しくてたまらない言葉だから
泣いちゃうんだと思う