今回通読したのは下記。
固定資産の減損に係る会計基準 /企業会計審議会 …以下、本基準という
固定資産の減損に係る会計基準注解 /企業会計審議会
固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書 /企業会計審議会
固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 /企業会計基準委員会
【強制適用は2005年から】
1999年
意見書によれば、そもそも1999年に「固定資産の会計処理」について、幅広い審議が始まったとのこと。
2001年
その中でも「固定資産の減損」が最優先の課題ということで、議論が重ねられ、2001年に意見書(公開草案)が公表。
2002年
2002年に意見書、本基準が企業会計審議会から公表。
本基準を実務に適用する場合の具体的な指針は、企業会計基準委員会に委ねられた。
2003年
2003年10月に企業会計基準委員会から適用指針が公表。
2005年
2005年4月1日以後開始する事業年度から強制適用。
【最重要の考え方】
- 減損の兆候の判定(兆候ありなら②へ)
- 減損損失の認識の判定(認識したら③)
- 減損損失の測定
要は3ステップ。
2期連続赤字であれば減損の兆候あり、というのはわかりやすい
減損の兆候判定は4つ
認識の判定においては、将来キャッシュフローを見積もるため、見積もりの不確実性がとても高い。
測定においては、帳簿価額を回収可能価額まで減損することになり、正味売却価額と使用価値のいずれか高い方が回収可能価額となるが、使用価値であれば将来キャッシュフローを割引くことになるため、見積もりの要素満載である。正味売却価額であれば、不動産鑑定士に評価してもらうことになりそうだけど、インカムアプローチを採用するなら結局は見積り要素からは逃げられないか。
【適用指針の設例】
設例が最後の方に10問あり一通り通読したが、実務を意識した設例になっており、非常に理解の助けになった。
会計基準が文字の羅列で理解しにくかったが、設例ではそれをカバーしており、文字だけでは腑に落ちなかった部分が理解できることが多かった。
【将来キャッシュフローの見積もり期間】
土地については使用期間が無限になりうること等から、その見積期間を制限し、最長20年までとされている。
【適用される対象資産】
固定資産が対象。
固定資産には有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産が含まれる。※ただし他の基準で規定されているものを除く
対象資産には、建設仮勘定やリース資産も含まれるし、オペレーティングリース取引によりBS計上されていないリース資産も含まれる。
【論点になりそうだなと感じた点】
資産のグルーピングをどうするか
→グルーピング次第で減損要否が変わることもある。一度決定したグループングは簡単には変更できない。
減損の兆候判定
→同じ事象に対して、人によって兆候有無の判断が分かれそう
将来キャッシュフロー
→見積り要素の塊。
【意外だった点】
遊休資産の減価償却費は、原則として営業外費用として処理する。(適用指針56項)
【終わりに】
業績が悪化している企業であれば、減損の兆候判定なんてすぐに引っかかりそう。
特に兆候判定4つのうち、「使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下される変化がある場合」。
例示として、下記が目安として記載されていた。
・当初の予定よりも著しく早期に資産を処分すること、資産を異なる用途に変更するすること、遊休状態になること、資産の稼働率が著しく低下し回復見込みがないこと、資産に著しい陳腐化等の機能的減価が観察できること、が目安として記載されていた。
それではまた