※不思議体験 実話
怖い話ではありません。前世帰り①〜⑧を読んでから本文をお読みくださいm(_ _)m
決戦の日は終わった。
翌日、YとEは一緒に登校してきた。
YとEに「大丈夫だった?」と聞くと「てっちゃんが頑張ってくれた」と笑顔で答えた。
どんな風に頑張ったのか?めちゃくちゃ気になる。詳しく聞くと、夜中24:00が近づくにつれて女のパワーは大きくなった。その頃になるとYは女の影響を受けて、もう訳わからん状態だったらしい。
Eは残念ながら霊感がないので、見えないし感じない。てっちゃんが頑張って、約束通りYを守ってくれたそうだ。
まぁ、何はともあれ、一件落着!
Yが無事で本当に良かった
YとEとOと私、そして、てっちゃんの5人で週末に『お疲れさまパーティー』をYの家ですることにした。皆でそれぞれに料理やお菓子を持ち寄った。私はてっちゃんが「酒が飲みたい」というので、日本酒のワンカップを買って行った。当時は20歳未満でも「お父さんに頼まれました」って言えば、お酒を買えた時代だった。
Yの体にてっちゃんが入った。日本酒を見て「酒飲むのは久しぶりだな〜♪」と嬉しそうな顔で口に含む。どうやら口に合わなかったようで「味がない」と残念そうな顔 昔の日本酒はもっと味が濃かったそうだ。
てっちゃんが急に「お前、アレが欲しいんだろ」と指さした。それは20㎝くらいの大きな洗濯バサミ。ピンクと黄緑色があり、私はそれがカワイイと思っていて、以前Yに一度「それちょうだい♪」とおねだりしたら即答で「ダメ!」と言われたものだった。
「俺がYに話つけとくから」
「え〜。YがOKする訳ないじゃん」
Yは決してケチではないし、良い奴だ。そのYがダメ!って言うのは、Yのお気に入りってこと。
私はてっちゃんの言葉を本気にしなかった。
てっちゃんはEやOにも欲しいものをあげると言い出した。Eは欲しい熊のぬいぐるみがあるそうで、てっちゃんはEの親が買ってくれるようにチョチョイっと魔法をかけると言った。
てっちゃんは全員にプレゼントの約束をすると、「じゃあな」と言って天に帰って行った。
Yが「行っちゃった…」と涙を流しながら呟いた。Yの言葉で、もう会えないんだと実感して自然に涙が出た。
「さくらもち、あの洗濯バサミあげるよ」
「え?マジ? Yのお気に入りでしょ」
「うん。でもいいんだよ。あげる」
「ありがとう」
私はこの洗濯バサミをずっと大切にしていた。でもプラスチック製だから、15年以上たったある日壊れてしまった。
てっちゃんからのプレゼント、ちゃんと全員受け取っていた。Yを守りきっただけでなく、皆に餞別を送っていくなんて、てっちゃんは本当に粋な奴だ✨
てっちゃんが天に帰る前に言っていた、見えない世界のルール。てっちゃんは成仏してる人だから、地上で体験した事は、上の世界に戻ると忘れてしまうそうだ。そういう決まりなんだと言っていた。
高校を卒業してしばらく経つとYはこの体験を忘れてしまっていた。こんなに大変な体験をしたのにどうして忘れられるのか?と驚いた。
でも多分Yにとっては忘れた方が良いってことなんだろう。
Eと私は今でもたまに、てっちゃんのことを話す。てっちゃんとの出会いは私達の宝物だ✨
おしまい
こんな長い話を最後まで読んでくださった方、ありがとうございました❤️m(_ _)m