私は舞台上でロクサーヌ役を演じていた。
実際のロクサーヌとは全く違うキャラクターだったが。
まず男装していたところからして違う話の人物だ。
でも舞台上で「ロクサーヌ!」
と呼ばれたのだから、私はロクサーヌなのだ。
…誰に呼ばれたかって?
それは勿論、シラノに決まってる。
「なぜ気付いたの…?」
ここぞとばかりに瞳を潤ませシラノを見つめる私、ロクサーヌ。
当然、こんなシーンもセリフも『シラノ』にはない。
「そりゃ気付くさ!」
あぁ…!有難う…!
本当の私に気付いてくれたのはあなただけよシラ…ノ?
感極まってシラノに駆け寄って行こうとしたその時、なんとシラノがジャン・バルジャンになった。
大きな鼻がなく、ボロボロの服を纏った、レ・ミゼラブルのジャン・バルジャン。
あれっ!?誰コレ!?
シラノじゃないけども!?
と、思った瞬間。
場面は打ち上げ会場に。
ホテルの中にありそうな日本料理のお店で、他の共演者の方たちは既に出来上がっていた。
(とくにガスコン青年隊が物語同様、大いに盛り上がっていた。)
「あっちに個室もあるみたいだからそっちに行こうか」
と、手を引いてくれたのは、
シラノ役の
役所広司さん。
(」゜ロ゜)」
鹿賀さんじゃない
でも夢の中なので、全く気にならない。
それよりも、手を繋いでるこの状況に心拍数が上がりまくり。
そして個室に着くと、
なんとサラリーマン二人組と相席。
何のための個室。
「いやぁ席空いてて良かったね。」
うつわの大きい役所さん。
そこへ、共演者の女性が遅れてやってくる。
年齢は40~50で、すごい女優さんらしいが、名前も知らないし、顔も見たことがない方。
物語上では、私の母親役だったらしい。
(※本来ロクサーヌの母親は登場しない。もう『シラノ』の片鱗すらもない。)
そして本番の話など話していたら、隣から…
「あのー…今日は発表会か何かですか?」
と、 サラリーマン①が話しかけてきた。
おまっ…!天下の役所さんと〇〇(女優)さんの前で発表会とは…!
と、緊張して二人を見ると、
いつの間にか中世ヨーロッパの貴族の格好をしていた。
女優さん「えぇそうなんですよ。ちょっとね。オホホホホ。」
いやいやいや…ただのおかしい人ですから…!
なぜ日本料亭にコルセット付きのドレスを …!!
そして役所さんは、おしぼりで半分顔を隠している。
冗談なのか本気なのか。
ツッコミを入れる前に場面転換。
私は客席で何かの舞台を見ていた。
登場したのは、加藤あいさん。
レモン色のカーディガンに白いブラウス、白っぽい膝丈のスカート、白い靴下、髪の毛を首もとで1つに結ぶという昭和スタイル。
それだけなら何の違和感もなかった。
そう、
トイレットペーパーを身体中に巻き付けてさえいなければ。
舞台下手から登場し、上手へはける途中、何者かにそのトイレットペーパーを掴まれた!
「ぎゃああああああ!!!!」
絶叫する加藤さん。
「しっ!僕だよ!」
現れたのは、なんとクリスチャン。
田代万里生さん演じる、超絶イケメン貴公子のクリスチャンだったのです。
さらになんと、気が付いたら加藤さんのポジションが私に!
「ロクサーヌ、僕はこれから戦地に行きます」
ぬわぁぁぁんと!!!!!
ここへきて、突然本編と同じ流れに!!!!
待ってましたこの展開!!!
有難う神様!!!!
夢よ醒めないで!!!
私「わかりました…。では賞状は私が大切に預かっておくわ…」
(」゜ロ゜)」
賞状?
いきなり横に茶色い長机が出てきて、その上にA4サイズの白い封筒が。
表にはなぐり書きで“賞状在中”の文字が。
なんだよもー台無しだよー
戦争から帰ってきて渡す賞状ってなんだよー
どうせ【頑張ったで賞】とかしか入ってないんでしょー?
扱いが雑だものー
絶対はじっこ折れてるパターンだものそれー
それでも類い希なる美貌の持ち主クリスチャンは、
「ああ。頼んだよ。」
と一言。
そして…そして…!
お別れの…キ……………!!!!!!!!!!!!!!!!!!!///////
場面転換。
なんっっだよもおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ちょ、マジで今っ!!!!
超!超!いいとこだったの!!!!
ほんとにっ!!!!
空気読んで私の脳みそ!!!!
メカニズム!!!!
きえぇぇぇぇぇいっ!!!(狂)
…まぁ…その…あとは…
どこかのマンションの一室で、ソファーに座りアルバムを見ている私。
その横に未来の彼氏?か旦那さん?がいる。
姿は見えず、声だけの出演。
私「みてみて!コレ、昔クイズ番組に出た時の写真!」
そこには、クイズ番組の解答者席にいる6人の女子が写っていた。
私と、地元の同級生達という設定。
私「懐かしいなぁ。あっ、この子が一番可愛いって評判だったよ」
男性「確かに!可愛いね!」
そりゃそうですよ。
だってそれ、
まゆゆだもの。
私はいつからAKBのNo.2と同級生になったのだ。
そこでタイムアウト。
目が覚めてしまいました。
隣にいた人は一体誰だったのか。
いやいやそんなことより!
もっとちゃんと、シラノと恋愛する夢が見たかった。
夢の中でくらい…
夢の中でくらい…
ヒロインでいたかったなぁ…
あの声で囁いてほしい。
ロクサーヌ…あぁロクサーヌと…。
完。