ぼくはキャラ





 14歳の春

仔犬の時から

ずっと一緒に育ったもーちゃん

お空へ旅立った





パパもママも泣きながら

もーちゃんをたくさん撫でて

お別れをした

 


うちの子になってくれて

ありがとね


かわいいよ 

だいすきだよ


もーちゃんがいてくれたから

みんなとっても幸せだったよ


ほんとうに 

ほんとうにありがとね





 

一緒にお留守番をして育った

小さかった女の子も

遠くの街から帰ってきて

一緒にお空へお見送りした




 

それからパパは

もーちゃんの写真を撫でては

泣いていた


 

ママはお散歩に行けなくなった


 

ぼくは

ふたりが元気になるまで

ずっと側にいてあげなきゃと

思った




目は見えなくなってきたけど

ぼんやりわかるし

耳もあんまり聞こえないけど

鼻はまだきく


なんだかとっても

眠いんだけど



ごはんをたくさん食べると

喜んでくれるし



ぼくが元気に歩くと

ママも喜んでお散歩に行けた



思い切り走らせてあげたいと

ドッグランにも連れてってくれた




お友達がたくさんいて

目が見えないぼくは

ぶつかっちゃうので

自由には走れなかったけど


あいさつしたり

撫でてもらったり

楽しかった



夏が来て





おフロあがり


秋になって



冬が過ぎ


また春がきた

ぼくは15歳になった





桜が散る頃

もーちゃんの命日だよって

おいしいおやつを食べた


もーちゃんがお空へいって

1年がたった


パパもママも

もう泣いてない

元気になったのかな

よかった




 

でもなんだか

このごろお腹がへんなんだ

ごはんも食べたくないし

脚にも力が入らない



お医者さんは言った

お別れが近いって



ぼくも

もーちゃんのところに

行くときが

きたみたい



 

それから

パパとママは

ぼくの喜びそうなごはんを

毎日いろいろ買ってきた

 

いつもは

ちょっとしか食べれないお菓子も

すきなだけ食べてねという


ぼくが食べると

とても嬉しそう


なので

たくさん食べてあげたい



でも もう

お腹いっぱい

 

 



 

女の子が遠くの街から

逢いに来てくれた




一緒に抱っこで

いつもの公園に

お散歩に行ったり

 

もーちゃんと

かけっこして遊んだ

大好きなお庭で

ひなたぼっこしたり

 

いっぱい抱っこしてくれて

いっぱい撫でてくれた



 

初めて会った日

まだ小さくて人見知りで

犬が苦手だった女の子

 

お留守番がこわくて

一緒に居てくれるワンコを探してた

寂しがり屋の女の子

 

ぼくたちはすぐに仲良くなって

一緒にお留守番もがんばって

一緒に大きくなった





 

もう あの頃の

小さい怖がりな女の子じゃない

どこへでも行けるし

犬も怖くない

もう安心だね



 


 

がうごかなくて

トイレでおなかがよごれたので

パパとママが洗ってくれた


いつもはお風呂きらいだけど

今日はあったかくて

きもちよかった



 

いつものように ママは

おやすみね いい夢みてね

また明日ね と言って

一緒に眠った




 

でも もう 

いかなくちゃいけないみたい

 

ママにお別れを言わなくちゃ


 

動きたいけど

体がもう動かない


精一杯声を出して

ママを呼んだ

 

ママは気付いて

寝返りをさせて

お水をくれた


でも もう

お水 いらないんだ

ごめんね



また何度も

一生懸命に伝えた

声が出ないけど

クンクンと鼻を鳴らして


 

すると抱っこして

撫でてくれた



ママの腕のなかは 

あったかくて

なでなでされて気持ちよくて

安心して


 


ママはまだ気づいてないけど

もう お別れなんだ



パパ  ママ  女の子

もーちゃん



みんなと暮らして

笑ったり怒ったり

とても楽しかった


家族になれて

幸せだった




 

ありがとね

みんな ありがとね




 

またね