ぼくはキャラ
仔犬の時から
ずっと一緒に育ったもーちゃんが
お空へ旅立った
パパもママも泣きながら
もーちゃんをたくさん撫でて
お別れをした
うちの子になってくれて
ありがとね
かわいいよ
だいすきだよ
もーちゃんがいてくれたから
みんなとっても幸せだったよ
ほんとうに
ほんとうにありがとね
一緒にお留守番をして育った
小さかった女の子も
遠くの街から帰ってきて
一緒にお空へお見送りした
それからパパは
もーちゃんの写真を撫でては
泣いていた
ママはお散歩に行けなくなった
ぼくは
ふたりが元気になるまで
ずっと側にいてあげなきゃと
思った
目は見えなくなってきたけど
ぼんやりわかるし
耳もあんまり聞こえないけど
鼻はまだきく
なんだかとっても
眠いんだけど
ごはんをたくさん食べると
喜んでくれるし
ぼくが元気に歩くと
ママも喜んでお散歩に行けた
思い切り走らせてあげたいと
ドッグランにも連れてってくれた
お友達がたくさんいて
目が見えないぼくは
ぶつかっちゃうので
自由には走れなかったけど
あいさつしたり
撫でてもらったり
楽しかった
夏が来て
おフロあがり
秋になって
冬が過ぎ
また春がきた
ぼくは15歳になった
桜が散る頃
もーちゃんの命日だよって
おいしいおやつを食べた
もーちゃんがお空へいって
1年がたった
パパもママも
もう泣いてない
元気になったのかな
よかった
でもなんだか
このごろお腹がへんなんだ
ごはんも食べたくないし
脚にも力が入らない
お医者さんは言った
お別れが近いって
ぼくも
もーちゃんのところに
行くときが
きたみたい
それから
パパとママは
ぼくの喜びそうなごはんを
毎日いろいろ買ってきた
いつもは
ちょっとしか食べれないお菓子も
すきなだけ食べてねという
ぼくが食べると
とても嬉しそう
なので
たくさん食べてあげたい
でも もう
お腹いっぱい
女の子が遠くの街から
逢いに来てくれた
一緒に抱っこで
いつもの公園に
お散歩に行ったり
もーちゃんと
かけっこして遊んだ
大好きなお庭で
ひなたぼっこしたり
いっぱい抱っこしてくれて
いっぱい撫でてくれた
初めて会った日
まだ小さくて人見知りで
犬が苦手だった女の子
お留守番がこわくて
一緒に居てくれるワンコを探してた
寂しがり屋の女の子
ぼくたちはすぐに仲良くなって
一緒にお留守番もがんばって
一緒に大きくなった
もう あの頃の
小さい怖がりな女の子じゃない
どこへでも行けるし
犬も怖くない
もう安心だね
体がうごかなくて
トイレでおなかがよごれたので
パパとママが洗ってくれた
いつもはお風呂きらいだけど
今日はあったかくて
きもちよかった
いつものように ママは
おやすみね いい夢みてね
また明日ね と言って
一緒に眠った
でも もう
いかなくちゃいけないみたい
ママにお別れを言わなくちゃ
動きたいけど
体がもう動かない
精一杯声を出して
ママを呼んだ
ママは気付いて
寝返りをさせて
お水をくれた
でも もう
お水 いらないんだ
ごめんね
また何度も
一生懸命に伝えた
声が出ないけど
クンクンと鼻を鳴らして
すると抱っこして
撫でてくれた
ママの腕のなかは
あったかくて
なでなでされて気持ちよくて
安心して
ママはまだ気づいてないけど
もう お別れなんだ
パパ ママ 女の子
もーちゃん
みんなと暮らして
笑ったり怒ったり
とても楽しかった
家族になれて
幸せだった
ありがとね
みんな ありがとね
またね