『腎臓Lover』(黒田充代)。
「まだ眠っている世界線」。
本文(127頁)の本書は、東京の本屋「読書のすすめ」のHPの図書リストから見つけた一冊。
決め手となったのは、本書の紹介文にあった「中庸」というキーワード。
右でもなく左でもなく、中庸に身を置いて、世の中を眺めてみる必要性を昨今の情勢なども含めて、感じていたこともあり、注文したもの。
目次をリストすると、それだけで冗長になるきらいがあるので、本書については目次は割愛します。
まずは、「はじめに」にある一文から、気になったところを少しずつ、記していきたいと思います。
切符マジック
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「切符マジック」
高校生の彼が急に立ち上がり慌てて何かを探している様子だった。
お父さんも立ち上がってその何かを探しはじめている。
よくわからないけれど私も自分の足元をキョロキョロ・・・何も落ちていない。
窓の外に目を向けながら何となく自分のズボンの左ポケットに手を入れると紙切れが入っていた。
ん?と思い取り出してみたら・・・それは乗車券だった。
盛岡~東京?いまいちピンっとこない私はおもむろにバックの内ポケットから仙台~東京の乗車券を出して眺めてみる。
だよねぇ?それじゃこれは誰の?思わず右隣で立ち上がって慌てる彼の背中をツンツンと押す。
盛岡~東京の乗車券を見て「あ!!」彼は慌てて私の手からその乗車券を奪い取った。
そうして私を訝しげに見つめてきた。
「ポケットから出てきて・・・でも見つかってよかった~」
全然よくはない!と言わんばかりの顔を親子で同時に向けられても困るんだけどなぁ・・・と思いつつも私は笑顔でそれを受けとめた。
「おまえ・・・今日大丈夫か?」小声でお父さんが彼にかけた言葉がやけに私の耳に私の耳にハッキリと届いてくる。
お父さん?もうちょっとセンスある言葉がきっとある言葉がきっとあると思うんですよね、と私は胸のなかでひとり突っ込んでみた。
「やばっ、マジシャン!」
この奇妙な間合いで、私たちの後ろの席の男性が笑いながら呟く。
どうせなら、不思議を前向きに楽しみたい。
後ろを振り返りながら私は笑顔でまたそれを受けとめた。
(P75~77)
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