『サムエルソン 『経済学』の時代』(根井雅弘)。
「サムエルソン 『経済学』の時代」
12年前にFacebookに投稿した記事を加筆修正の上、ブログに移植したもの。
本書の裏表紙にはこう紹介されています。
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「経済学の考え方」を専門を異にする知識人にまで教え込むことに成功した『経済学』。
この名著を中心に描いた、現代経済思想史。
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うまくまとめてありますね。
まさに、編集者の力かも。
根井氏が今や経済学史の第一人者であることに異論をはさむ方は少ないかもしれません。
第1章のタイトルにあるように、私も高2の時に、経済学を学ぼうと決意しました。
そのきっかけは高校の図書館にあった九大の先生が書かれた「農業経済学」の本でした。
勉強そっちのけで、のめり込みました。
浪人時代も経済学を学ぼうという志は揺らぐことはありませんでした。
大学1年の時、その論旨に違和感を感じて、吉本隆明氏のいう「転向」めいたことはありました。
専攻は近代経済学系の「財政学」。
数学を駆使したい思いにかられました。
今から考えれば、初歩の「経済数学」だったことが恥ずかしいくらいです。
国公立受験もありましたので、数学を選んでてよかったですねえ(^_^;)
サムエルソン。
アメリカ人として初めてノーベル経済学賞を受けた人物。
タイトルにもなっている『経済学』。
教科書としてはベストセラーだのではないでしょうか。
授業あるいはサブゼミなどで取り組まれた方も多いのではないのでしょうか。
私の場合は、自学のテキストとして学んだひとりです。
在学当時は、第8版か第9版くらいでなかったかな、と記憶しています。
記憶違いだったら、申し訳ないのですが。
訳されたのが、こういう言い回しは流行らないかもしれませんが、マルクス経済学者(あくまでも自分自身の認識です)の都留重人氏だというのも何とも、と感じました。
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〇45度線モデル
〇経済学と数学
〇IS/LM分析
〇自然失業率仮説
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などがコラムとして取り上げられているのが、何とも言えず嬉しいと同時に、当時を思い起こさせてくれます。
終章には『経済学』の章立てとともに、彼の遺した遺産が書き綴られています。
その果たした役割の大きさをうかがい知ることができるかと思います。
巻末には、
「サムエルソン年譜」、
人物解説、
が載っています。
根井氏ならではの配慮が感じられます。
サムエルソンの『経済学』の序文の最後にある言葉を紹介し、まとめにかえたいと思います。
サムエルソンが書いていたころの『経済学』をあらためて、読んでみたい思いにかられました。
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「経済学という興味のつきない世界を初めて探検しようとする読者を、私は羨ましく思う。
残念なことに、それは誰も一生に一度しか経験できない感動である。
今やその探検を始めようとするあなたに、ここに乾杯の挨拶だけをさせていただきたい。」
(P164)
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(2012・6・22読了)