『考える技術としての統計学〜生活・ビジネス・投資に生かす』(飯田泰之)。
「使う立場からみた統計学」。
8年前にFacebookに投稿した記事を加筆修正の上、ブログに移植したもの。
本書の発刊は2007年。
今から9年前(当時)に書かれた、「統計学入門」的な一冊。
執筆当時、駒澤大学で経済政策やマクロ経済学を講じておられた
立場から書かれています。
どういったところを学生(本書の場合は、駒澤大学経済学部の学生)が間違えるかについても指摘されています。
『はじめに』で、飯田氏は本書のテーマについて、こう述べています。
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統計と統計学が「私たちの思考と意思決定の本質的な基礎である」
(P3)
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私が学んだ大学でも、「統計学」は教養課程の必須科目でした。
多くの私大経済学部も最近では、「数学」での受験が可能となりました。
もともと、「数学」を課していた私大経済学部や商学部もあることはありましたが、少数でした。
私大3教科に特化した受験勉強しかされていない方には、数学を扱う経済学部は辛かったのではないか、と思料します。
実際に、有名私大で、社会ではなく数学で受験し、4年間、授業料免除だった方があることも友人から教えてもらいました。
多くの方は、数字が書いてあるだけで、アレルギー反応を起こされます。
その数字を正しく読めないことには、分析し、論評を加えることは難しいと考えます。
本書は「統計学的思考」に焦点を合わせています。
レベル的には、高校卒業〜学部1・2年と思料します。
皆さま、習われたことのある、「帰納法」や「演繹法」についても、記述がなされています。
統計数字に「騙されない」から「使いこなす」思考を模索した一冊。
飯田氏は、『統計詐欺の3つのパターン』として、以下の3点をあげています。
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1、見せ方の嘘
2、選択の嘘
3、収集の嘘
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どれも、そこでつまずいてしまっている方の多いところですね。
飯田氏は、専門とする経済学での利用のされ方を2点あげていらっしゃいます。
これは、参考になるかと思います。
1、問題発見のための統計学の利用
2、経済理論(経済モデル、マルクス経済学を主体とされた方には理解しずらい部分とも思います)が予想する因果関係や時系列の性質が実際に現実経済の動きに一致しているかをしらべる、検定するという方法。
学生さんは、検定の誤りをよくおかしているとも指摘されています。
注も充実さている全222頁。
少し旧い本ではありますが、一読をおすすめします。
数字やデータに弱い方に(そうでない方は別として)、19世紀のイギリス首相、ベンジャミン・ディズレーリの言葉をご紹介し、まとめにかえさせていただきます。
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「嘘には三種類ある−嘘、大嘘、そして統計」
(P14)
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(2016・6・9読了)