『日本の美を求めて』(東山魁夷)。
「日本美の根源」。
本書(本文119頁)は「読書のすすめ」さんのおすすめの一冊にあがっていた一冊。
1976年9月に発刊されたもの。
日本画壇の第一人者であった著者によって著された、詩的随想といってもいい一冊。
まず、本書の構成をリストしておきたい。
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まえがき
風景
唐招提寺の魅力
山雲涛声
やまとしうるわし
二つの故郷の間に
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その本文の中から、いくつか自分の琴線に触れたものを中心に抜き書きし、ご紹介していければ、と思います。
今回は「唐招提寺の魅力」から。
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「唐招提寺の魅力」
唐招提寺は鑑真和上が、はるばる唐から言語に絶する苦難の末に来朝され、律学の根本道場、即ち仏教徒の守るべき戒律を授け教えるための最高学府としての性格を持って建立された寺である。
そのことは建築その他にも偲ばれ、また、寺風となって今日なお生き続けている。
この寺の持つ清潔感の根源は、そこに由来していると思われる。
私にとって、何より心を引かれるのは、まず、この点にある。
その精神は境内の隅々にまで感じられ、心が洗われ鎮められる想いがする。
(P45)
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(2024・4・29読了)