【読書日記】『医療者が語る答えなき世界』(磯野真穂)。
自分自身が2年前の手術・リハビリ生活中に『急に具合が悪くなる』を読んでいたことがきっかけになると思いもよりませんでした。
医療の問題を文化人類学的に捉えたこの一冊は、今もデイケアのリハビリ施設で週一回リハビリ訓練を受けている私にとって、肯けるところが多数ありました。
昨今、医療って仁術か、流行り病用と称されるお注射などにまつわる話から、錬金術と思ったりすることも増えて来ました。
金融機関のシステム部門の時にインフルエンザかな、と思い受診した内科の医師は「温かいものを食べ、充分な睡眠をとってください」という言葉だけで、薬を処方されることはありませんでした。
しかし、これが功を奏して、長期間、やすむこともなく、現場復帰したという経験があります。
それもあって、興味深く、本書に描かれている人間模様を一気と言ってもいいくらいに読み進められたのかもしれません。
まず、本書の構成を示しておきたいと思います。
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プロローグー医療という奇妙な現場
<第1部>肩越しの視点から
1・気付き
2・高齢者と身体拘束
<第2部>科学が明らかにできないもの
3・手術と呪術
4・新薬
5・効く薬とは何か?
<第3部>傍らにいるということ
6・いのちの守り人
7・死守
8・共鳴
エピローグ
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本書の中から、気になったところなどを中心に抜き書きしておきたいと思います。
一文だけセレクトしてとも考えましたが、こういう時期でもあり、抜き書きすることとしました。
今回は第2部・「科学が明らかにできないもの」の扉部分から。
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「科学的に明らかにされた「事実」なるもの」
医療の根底を作る。
科学の発展は医療の発展であり、その発展は実際に多くの命を救ってきた。
しかし現場の医療者は科学が万能でないことにも気づいている。
自分たちの医療に科学的ではない部分があることも知っているし、科学的事実が幅を利かせることで、もっと大事にすべき部分が見えなくなる場合があることも知っている。
(P60)
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(2024・3・15読了)