【読書日記】『世界を動かす技術思考−要素からシステムへ』(木村英紀・編) | 「そば屋さのあんちゃん、息災け?」

「そば屋さのあんちゃん、息災け?」

稀有な病気をはじめ、人のあまり経験しないことを経験しました。
そんなことを織り込みながら、日ごろの読書を中心に綴っていければと思います。

『世界を動かす技術思考−要素からシステムへ』(木村英紀・編)。

 

「技術立国日本の復活の鍵」。

 

8年前にFacebookに投稿した記事を加筆修正のうえ、ブログに移植したもの。

 

本書はブルーバックス・シリーズの中の一冊。

以前、私はビジネス書ではなく、こうした異分野の本に前職時代に、ヒントを見出だしたと書かせていただきました。

そうした現場を離れた今でもその気持ちは変わりません。

 

技術立国・日本を支えてきたのは、「ものづくりの精神」であったことに異論をはさむ方は少ないかと存じます。

本書が復活の鍵としてあげているのは、システム化であり、「システム科学技術」。

その浮沈は、「ものづくりの精神」からの脱却だと著者らは言います。

全く「捨て去れ」というのではなく、固執するな、ということ。

 

「ものづくりの精神」が手かせ足かせになってはならないのです。

大事なのは、柔軟な発想力。

アイデアをいかに、様々なものと、いかに適切に結びつけるかということ。

 

そのひとつの例として、オランダの地図をイメージさせることから本書はスタートしています。

アムステルダムが面する湾は、かつてゾイデル海と呼ばれていましたか、ヘンドリック・ローレンツという物理学者が計画さた湾化。

いまや、淡水湖であることは、地理を学ぶ方には知るところ。

そうした土木工事を行うという、システム化。

それこそが、今の日本に不足するものと喝破する。

 

流通分野などを考えてみても、「サプライチェーン・マネジメント」がそうであるように、身近なネットワークシステムとして想起されるかと存じます。

「システム」がひとつの「ネットワーク」から始まった証左でもあるでしょう。

「システム」がひとつのキーワードであることは、「◯◯システム」という言葉からも明らかだと思います。

今の日本が弱いのはまさに、こうした「システム技術」の弱さがあるからに他なりません。

各国が身につけた「システム化」を日本も身につけねばならない時代がやってきたのです。

 

日本が技術立国としての復活するために、クリアせねばならない課題が詰まった一冊。

私たちが、部品・要素技術に強い日本を見られることを期待したい。

 

目次をリストし、『あとがき』を含め、201頁のまとめにかえさせていただきます。

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序、システムの時代

1、システムはネットワークから始まった

2、プロダクトシステムとプロセスシステム−車の両輪

3、システムに関する科学と技術の歩み

4、進化するシステム

5、日本の問題

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(2016・3・12読了)