【読書日記】『芥川・太宰に学ぶ 心をつかむ文章講座―名文の楽しみ方・書き方』(出口 汪) | 「そば屋さのあんちゃん、息災け?」

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稀有な病気をはじめ、人のあまり経験しないことを経験しました。
そんなことを織り込みながら、日ごろの読書を中心に綴っていければと思います。

『芥川・太宰に学ぶ 心をつかむ文章講座―名文の楽しみ方・書き方』(出口 汪)。

 

「芥川は性格俳優・太宰はお笑い芸人」。

 

7年前Facebookに投稿した記事を加筆・修正の上、ブログに移植したものです。

 

お笑い芸人といえば、又吉直樹さんにも『火花』という作品がありますが、出口さんらに言わせると、芥川の影響をかなり受けていると。

実は、芥川にも『花火』という小品があります。

かなり読み込まれたのではないかとは、出口さんの見解。

 

私は高校時代、古文のUFO先生に「太宰を読むのはもう少ししてからな。」と言われた記憶があります。

UFO先生には「それを読まねばならない時期がある作品は、その時に読んでおきなさい。社会人になってから、時間はなかなか取れないし、雑談で文学作品の話になって、〇〇の作品「〇〇」にこんなこと書かれてましたよね、と言われて答えられるようにしておきなさい。」と

 

つまり、作品によって、読むべき時期があることを示唆された記憶があります。

1年間の浪人生活を経た私は、芥川を集中的に拝読いたしました。

高校生時代、学校の図書館で見つけたマル系経済学の本だけ読んでいた私には、大きな方向転換でした(学問的にも、浪人生活をおくる間に大きく方向転換)。

芥川作品の大半は読んでいます。

実家2階の物置にある段ボール箱にギュッと詰まってます。

古典作品に題材を求めたものが多いことが、高校時代に折口信夫や古典ものに耽溺していた私には、合っていたのかもしれません。

 

日頃は小説はあまり読みませんが、そこそこ読んでいるとは思います。

又吉直樹さんの作品ではないですが、そこには「真似ぶ」の精神が生きている気がします。

本書は、そうした「真似び」のための一冊と言えるかもしれません。

かつては、その表現がいいなあ、と思ったら、手書きで書き写したものです。

かたや、長女や長男からは「コピペ」という言葉しか聞こえてこない悲しさ。

 

学部生時代に、亡き恩師に「問題点はあると思うのですが、大御所の先生の著書。問題があるとはズバリ書けませんが、何かよい表現はありませんか?」とお尋ねしました。

すると、恩師は「問題なしとしない。という表現だと、ズバリ言いきってはいないものの、問題点はありますよ、と暗に示唆することになり、相手側が傷つかない。」ということを教えてくださいました。

 

思わず、膝を打ちました。

FBに来る前の、ビジネス系SNSでも、読書ライブラリーにそうした表現を用いたことがあります。

個人的なことは、このくらいにして、本題へ。

 

本書の章立ては以下の通り。

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《プロローグ》文豪の文章術を盗もう

1、芥川に学ぶ論理的な文章術

2、太宰に学ぶ自由奔放な文章術

3、芥川に学ぶ視点を変える文章術

4、太宰に学ぶ魂を表現する文章術

5、芥川に学ぶ重厚な文章術

6、太宰に学ぶ演技としての文章術

7、出口 汪×齋藤 孝・なぜ芥川と太宰はすごいのか?

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これだけの内容を、本文だけで全254頁に盛り込んでいます。

 

対談は外さず、読んでいただけたらと思います。

なんらかの示唆するところがあると思いますので。

『心をつかむフレーズ』として、本文中に織り込まれているものから、一つずつご紹介し、まとめにかえたく存じます。

「UFO先生、太宰を読んでも免疫で来てたから、どうにか乗り越えれたよ。」

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《芥川・心をつかむフレーズ》

 

「彼は人生を見渡しても、何も特に欲しいものはなかった。

が、この紫色の花火だけは、-凄まじい空中の火花だけは命と取り換えてもつかまえたかった。」

 

(本書、P195~197、所収作品『或阿呆の一生・「火花」』)

 

《太宰・心をつかむフレーズ》

 

「三七七八米の富士の山と、立派に相対峙し、みじんもゆるがず、なんと言うのか、金剛力草とでも言いたいくらい、けなげにすくっと立っていたあの月見草は、よかった。

富士には、月見草がよく似合う。」

 

(本書、P233~236、所収作品『富嶽百景』)

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二人の作品をあらためて、味わってみたいと感じました。

再読のきっかけにしていただけたら、と思うものです。

 

(2016・12・24読了)