【読書日記】『検証 検察庁の近現代史』(倉山 満) | 「そば屋さのあんちゃん、息災け?」

「そば屋さのあんちゃん、息災け?」

稀有な病気をはじめ、人のあまり経験しないことを経験しました。
そんなことを織り込みながら、日ごろの読書を中心に綴っていければと思います。

『検証 検察庁の近現代史』(倉山 満)。

 

「司法制度の核心とは?」。

 

 

本書(本文365頁)は、冒頭に「検証」と名付けたシリーズ三部作の一冊。

「内閣法制局」のものより、頁数は多いです。

65歳の定年を迎え、求職活動をする中で、それと並行して「第二の軸」づくりを考えています。

その中で、法律の学びを学生時代や銀行員時代に、専攻科目や銀行業務の法律の学び以来になります。

『検証 内閣法制局の近現代史』(倉山 満)に続き、拝読したもの。

試験科目の性質上、頭の片隅の知識として必要と感じたこともあります。

もう一冊、記事としてあげる予定の本を、この派生として投稿予定です。

すでに、そちらも既読済みです。

 

検事というと、テレビドラマ「HIRO」を想起される方が多いかもしれませんね。

また、佐藤優氏などに見る「国策調査」のようなものがあり、「精密司法」と称されるくらい日本の検察のすることですから、起訴されれば、ほぼ99.9%の確率で有罪となります。

佐藤優氏の場合もそうでしたね。

その逆に、警察が逮捕された犯罪者を無罪にする力も持っているという組織。

つまり、

「被告人が事件の真犯人であるとの立証責任(これを拳証と言う)を検察官が果たした時に、被告人は有罪となる」(P37)、

ということです。

逆に言えば、

「検察官が100%の拳証を果たさない限り、被告人を有罪にはできない」(P37)、

ということになります。

もっというならば、

「刑事裁判は「裁く」のではなく、審査する場である」(P37)、

ということです。

 

序章『巨大権力』の大まかなところを押さえておけば、たんたん読み進められていくと思います。

 

まず、本書の構成をリストしておきます。

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はじめに 裁かれるのは誰か

序・巨大権力

1・司法省

2・平沼騏一郎

3・「憲政の常道」から敗戦へ

4・占領期

5・指揮権発動と”眠る”検察

6・黒い霧事件と田中金脈政変

7・ロッキード事件

8・リクルート、竹下登、大蔵省解体

終・有罪率九九・九%、検察の正義とは?

おわりに 矛盾の存在

〇参考文献リスト

〇歴代検事総長一覧

〇検察庁・略年表

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まず、大日本帝国帝国憲法下の司法省(検事局)、そして平沼騏一郎から説き起こしています。

 

私の母校が日本大学ということがもありますが、初代司法大臣の大学創設者(厳密にいえば、日本法律学校)の山田顕義や後に日本大学総長(大正12年)になった平沼騏一郎(検事総長、大審院長、司法大臣をすべて歴任)に付随して、日本大学についても説明されているので、横道にそれますが、触れます。

「日東駒専」というマスコミのつくったものでなく、私の受験時は「神田五大学」(中央大、法政大、明治大、専修大そして日本大学という、法律学校を端緒とする学校)のくくりで語られていました。

受験生の皆さん、マスコミには躍らせないでください。

学校の成り立ちを知るべきということです。

第二章の『平沼騏一郎』の記述を少し、ご紹介しておきます。

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日本大学は明治22(1889)年に金子堅太郎を初代校長として設立された日本法律学校が前身であり、明治26年に司法省指定学校となった。

戦前は「刑法の日大」と呼ばれ、控訴院・地方裁判所・大審院から、多数の判事や検事が講師として教鞭を執った。

(P97・98)

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「日東駒専」でくくられる筋合いはないのです。

すこし、脱線しましたが次へ進めます。

 

終章『有罪率九九・九%、検察の正義とは?』で取り上げられている、「光市母子殺害事件」で、

「100回負けても、101回目をやる」という、山口地検の吉池浩嗣三席検事の闘志、これは検察庁の良心というか正義を感じました。

政治の介入に振り回されるとは言え、巨悪を前に大きな正義を実現できないのは悔しい限り。

 

参考までに、次の動画を貼っておきます。

広中惇一郎弁護士の動画になります。

 

 

 

検察の存在意義を考えさせられる一冊として、お読みいただければと存じます。

「検察の良心」について考えながら。

参考文献リストにある、自伝や伝記などを読むとその人柄に触れられるので、裾野を広げたい方は、進められればと思います。

 

自分の試験勉強の関連して拝読したが、「検察庁」について考える、座右の一冊としたく思います。

 

(2023・2・13読了)