
あの感動から、既に2週間以上が経ってしまい、なんだか今更と思いつつも、あの日の興奮をここに書き留めておきたいと思います。4月26日、上原ひろみ×熊谷和徳@ブルーノート東京、ピアノとタップ・ダンスによる脅威の共演です!
このお二人は既に何度も共演しているようですが、私が観るのは08年の東京JAZZ以来、2度目です。あの時は東京国際フォーラムという、格調高い上品なホール公演だったため、二人の親密感や熱気みたいなものが、若干伝わりづらかったかな?という印象でしたが、今回はブルーノートという狭いクラブということで、これは本当に楽しみでした。本来なら1st~2nd通しで堪能したいところでしたが、財布の事情も考え、1stショーだけで我慢しました。
狭いステージには、向かって左側に上原さんが弾くピアノが置かれ、中央から右側にかけてのスペースに熊谷さんが踊るタップ用の板が敷き詰められています。私は前から2列目ほぼ中央の席を確保。至近距離から左側に上原さんの表情がバッチリ見え、右側に熊谷さんの姿が見える位置。もうこのステージ配置を見ただけでワクワクですよ!そしてほぼ開演時間にお二人が登場。ちなみに上原さんは短パンが可愛いらしいモノトーンの衣装でしたが、これはおそらく4月14日にコットンクラブで見た時、そして4月19日に「笑っていいとも」に出演した時と同じ衣装。いわゆる勝負服ですかね?
そして上原さんらしい跳ねたリズムが心地良いスウィンギーな曲でスタート。上原さんは相変わらず奔放な“ひろみワールド”を繰り広げますが、そこに熊谷さんのタップ・ダンスが加わると、さすがにその景色はいつもとはまるで違ってきます。熊谷さんのタップは上原さんのピアノをバックに踊るのではなく、まるで両足が繰り出すリズムで上原さんのピアノとジャム・セッションを繰り広げるよう。上原さんも熊谷さんの出方を伺いながら、色々仕掛けている感じ。この二人の呼吸が堪らなくスリリング。しかし間近で観る熊谷さんのタップのキレと躍動感は半端無いです!しかもその音というかリズムが生々しい!
もちろん、熊谷さんのダンスが魅せる視覚的な効果も上原さんのピアノをさらに情緒的な世界に引き上げます。特に「Sakura」のようなスローな曲ではそれが顕著。あの「さくらさくら」をモチーフにした曲で、懐かしい日本の美しさを感じさせながら、エモーショナルこの上ない二人の共演は、まさしく芸術的でしたね。熊谷さんはただ佇んでるだけでも憂いを感じさせるようなオーラを持っていて、その雰囲気が良いんですよね~。で、また上原さんがいい顔してるんですよ!
そして一変してアップテンポの「Bern Baby, Bern」の凄まじかったこと。これは間違いなくこのステージのハイライトでしたね。二人の定位置は最初に書いたように向かって左が上原さん、右が熊谷さんな訳ですが、この曲では、おもむろに熊谷さんが上原さんの左側に移動。実は上原さんのさらに左側の小さなスペースにもタップ用の板が敷いてあったんです。そしてそこでの熊谷さんのタップはどんどん激しさを増していく。上原さんもそんな後ろの熊谷さんを振り返りながらどんどん加速していくよう。これはもう二人のぶつかり合いですよ!ぶつかり合いながらも絡みあい、そして重なり合ってとんでもないスピード感で翔け上がっていく。観客達もそのあまりの白熱振りにざわざわし始める。そして圧倒的な熱量と興奮がその頂点に達した瞬間、大拍手が巻き起こる。何か凄いものを観た!なんかそんな感動に包まれた瞬間。まさに騒然。やり終えた後の二人の表情も良かったですね。
続いて二人のソロ・コーナー。まずは上原さんの「Haze」。これは私が今最も好きな曲で、先日のコットンクラブでも聴いた曲。さざ波のように緩やかに繊細なメロディーが紡がれる曲ですが、この日の上原さんの“入り方”は素晴らしかった!その繊細さの中に感情を溜め込んで溜め込んで、もう溢れんばかりになり、今にも崩れそうなぐらい。その儚くも力強く濃密なパッション。本当に美しかった!! そして熊谷さんによる「Touhoku」。熊谷さんは仙台出身だそうで、今回の震災被害に対し“HAND TO HAND!! FEET TO FEET!!” という支援プロジェクトも立ち上げているそうです。今回披露された「Touhoku」という曲も、おそらく被災地への思いが込められているのだと思います。こちらも感動的なパフォーマンスでした!
そして本編ラストはチック・コリアの「Spain」。熊谷さんのタップ・ダンスは、何処かフラメンコのような雰囲気があるので、ヨーロッパな異国情緒を感じさせるこの曲は合ってましたね~。終始楽しそうに演奏する上原さんの姿も印象的でした。そしてアンコールは「Learn On Me」。ビル・ウィザースですね~。コットンクラブでもアンコールでやっていましたが、やはり上原さんのソロとはまた違う響きで素晴らしかったです。そしてやっぱり上原さんは歌ってました。
それにしても、二人のジャム度の高いライヴでしたね。リードしているのは明らかに上原さん。そして彼女がやりたい放題になっても熊谷さんはしっかり付いていきますから凄いです! 上原さんがアヴァンギャルドの方へ向かえば、熊谷さんもちゃんと呼応しますし、二人の掛け合いになっても、ピアノとタップがしっかり対話している。そして上原さんの落としどころというか、その感情の高ぶりが頂点に達する瞬間を、ちゃんと熊谷さんも共有している。だからこそ、その瞬間を我々観客も共有出来る。会場全体が一点に上り詰める、そんな瞬間が何度もありました。ピアノとタップという異色デュオでありながら、この二人だからこその化学反応。いや~、堪りませんね!とにかく二人の熱いソウルに参りました!
終演後、熊谷さんは自ら募金箱を持って、出口付近に立っていました。私も少しですが募金させて頂きました。
二人が名前を付けたと言う本日のスペシャル・ドリンクは“希望”でした。
メニュー曰く「ワン&オンリーの“元気が出るピアノ”をフレッシュトマトと自家製のはちみつレモンを使ってヘルシーに表現しました。軽快なピアノのメロディーと迫力のあるタップのリズムに合わせてお楽しみください。」だそうです。私はお酒がダメなので残念ながら諦めました…。

ブルーノート東京の公式サイトに4月24日1stショーのセット・リストが載っていました。
1. I Mean You
2. Sakura
3. Bern Baby, Bern
4. Haze
5. Touhoku
6. Spain
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7. Learn On Me
私が観た4月26日もこれで間違いないと思います。1曲目は「I Mean You」、セロニアス・モンクのカヴァーだったんですね。なるほど~。
ちなみに、2ndショーのセット・リストはこんな感じだったようです。
1.Brain Training
2.Place To Be
3.Touhoku
4.Ue Wo Muite Aruko
5.Rhapsody in blue
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6.What A Wanderful World
ちなみに、私がなぜ1stショーを選んだかと申しますと、おそらく上原さんのことですから、1stと2ndで演目を変えてくるだろうと。そして全体のハイライトは、東京JAZZで演った「Rhapsody in blue」だろうと。なので2ndは長尺の「Rhapsody in blue」が中心になるだろう。でも私は「Rhapsody in blue」以外の曲が聴きたい。じゃあ、1stにしよう。という次第だった訳です。しかもこの予測はバッチリ的中したという。しかも最終日4月27の2ndショーは全編USTREAM中継されたんです。もちろん私もパソコンにかじり付きで観ました。なので一応、まがいなりにも1st&2nd両方観れた感じみたいな。しかし私が避けた「Rhapsody in blue」が恐ろしく良かった! 東京JAZZで生で観た「Rhapsody in blue」より、小さな画面越しに観たこの日の「Rhapsody in blue」の方が断然興奮しました! まさにハイライトでしたね。途中、レッチリの「Under The Bridge」が挟まれたりで。やっぱ2ndも行っとけば良かった…、と思う次第。